第770話朝戸出の 君が足結を 濡らす露原
朝戸出の 君が足結を 濡らす露原 早く起き 出でつつ我も 裳裾濡らさな
(巻10-2357)
※足結:袴を膝の下で結ぶ紐。
朝、戸を開けて出て行く貴方の足結を、露をたっぷり含んだ草原が濡らしています。
私も早起きして連れ添って出て、同じように裳の裾を濡らしたいと思うのです。
朝帰りの夫を見送る場合、妻は部屋の中に籠っているのが習わし。
しかし、この妻は、一緒に家を出て、一緒に草露に濡れたいと願う。
夫がいなくなるのが名残惜しいし、夫が濡れるなら、私も濡れたいと願う。
恋愛真っ盛りのうらやましような、歌である。
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