第771話海原の 路に乗りてや 我が恋ひ居らむ

海原の 路に乗りてや 我が恋ひ居らむ

大船の ゆたにあるらむ 人の児ゆゑに

                   (巻11-2367)


大海原で舟を漕ぐように、私は恋に揺れ苦しみ続けるのだろうか。

あの大きな船に乗ったように、ゆったりと暮らす他人の妻のために。


「人の児」は、人妻ではあるけれど、年が若い女性。

おそらく夫は、古代らしく、何人も妻がいて、その中でも若い女性なのだと思う。

「大船」と称されているからには、裕福で立派な夫になる。


この歌を詠んだ男は、その若い女性を恋していたか、あるいは相思相愛だったけれど、立派な夫のほうに奪われてしまった、あるいは女性の方からなびいてしまった。


やはり、どの時代も、女は現実的。

甲斐性のないダメ男など、簡単に捨てられてしまう。

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