第767話新室の 壁草刈りに

施頭歌

※施頭歌:五七七五七七を基本形とする。頭を施らせて謡うの意味で、万葉集にはじめてみえる歌体。万葉集中、六十二首。


新室の 壁草刈りに いましたまはね 草のごと 寄り合ふ娘子は 君がまにまに

                              (巻11-2351)

新室の 踏み鎮む子が 手玉し鳴るも 玉のごと 照らせる君を 内にと申せ

                              (巻11-2352)

※新室:新築の家。

※壁草:横木にかけて壁とするための草。かや、ススキを使う。

※踏み鎮む子:娘子たちが、足踏みの儀礼を行いながら歌を歌い家の霊を鎮め、長久を願う古代の地鎮祭。


新築の家の壁草刈りにいらしてください。壁草がなびくように、ここに集まる娘子たちは、あなたの思いのままになりますよ。


新築の家の地面を踏み鎮める娘子たちの手玉が勢いよく鳴っています。その玉のように輝いているお方を、どうぞ内のほうにと申し上げなさい。


家を新築して意中の男に来るようにと誘う。

その男が来たら、家の中に招き入れる。(おそらく親の立場で)

そして娘と男が結婚、家の長久を願う。


古代の地鎮祭や結婚が見えて、なかなか貴重な歌である。

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