第763話あられ降り 板屋風吹き 寒き夜や

あられ降り 板屋風吹き 寒き夜や 旗野に今夜 我がひとり寝む

                      (巻10-2338)

※旗野:所在未確定。奈良県高市郡高取町(旧波多郷)または明日香村畑説あり。


あられが降り、板屋を風が吹きならすような寒い夜になりました。

こんな夜に旗野で一人で寝なければならないのでしょうか。


肌感覚で寒さと、風の怖さ、一人寝の寂しさが伝わって来る。

あられのパラパラとした音。

風が板屋をガタガタと揺らす音も、寒さ、怖さ、寂しさを増す。

暖房設備も現代とは比較にならないほどの時代。

せめて暖を取れるのは、人肌だったのだから。

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