第762話はなはだも 夜ふけてな行き 道の辺の

はなはだも 夜ふけてな行き 道の辺の ゆ笹に上に 霜の降る夜を

                       (巻10-2336)

※な行き:「な」は禁止の意味。「な行き」は「行ってはいけません」の意味。

※ゆ笹:笹の美称。


こんな夜更けに家を出て行ってはいけません。

道のほとりの笹には、霜が降りているほどの、寒い夜なのですから。


当時は通い婚だった。

男は、夜明け前に女の家から、出ていくのが決まり。

しかし、外はまだ暗く、道のほとりの笹には冷たい霜が降りている。

送り出す立場の女は、男の寒さや辛さを案じて、引き留めようとする。


男も、引き留められて、さぞかし女の愛情を感じたと思う。

この時代ならではの男女の実感をあらわす名歌と思う。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る