第761話沫雪は 千重に降りしけ 恋ひしくの

沫雪は 千重に降りしけ 恋ひしくの 日長き我は 見つつ偲はむ

                       (巻10-2334)

右は、柿本朝臣人麻呂が歌集に出づ。


泡雪は、幾重にも降り積もって欲しい。

私も恋しいだけの日が長く重なっているのだから。

せめて、泡雪が降る積もる様子を見て、あの女を偲ぶことにする。


泡雪が降り積もる様子に、自分の叶わぬ恋心が降り積もることを重ねたのだろうか。

なかなか逢えない女、実ることが難しい恋、それでも偲び続けていたいと思う。

泡雪が降り積もる様子を見続けるなど、寒くて仕方ないと思うけれど、熱い恋心はそうまでしないと、おさまらないのかもしれない。

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