第427話弓に寄せき(2)

南渕の 細川山に 立つ檀 弓束巻くまで 人に知らえじ

                    (巻7-1330)

※南渕:明日香の稲渕。島の庄の南。飛鳥川の上流。

※細川山:明日香村岡寺の東南、細川に臨む山。

※弓束巻くまで:左手で弓を握りしめる部分に桜の樹皮や革を巻き付けて握りやすくすること、弓の仕上げの作業。


南渕の細川山に檀の木が立っているけれど、弓に仕上げて弓束を巻くまでは、人に知られたくない。


意中の女を、自分の妻とするまでは、秘密にして起きたいと思う男の歌。

南渕の細川山は、早くから開けた土地で、人の往来も多かった。

そこに檀の良材(美少女)があれば、どうしても男たちの関心を集めてしまう。

あるいは、その付近で行われた宴会歌なのかもしれない。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る