第428話山に寄せき(1)

岩畳 畏き山と 知りつつも 我は恋ふるか 並にあらなくに

                      (巻7-1331)


大きな岩が連なる山とは理解しているけれど、それでも私は恋心がおさまらない。

ひととおりの身分ではないのだけれど。


「岩畳畏き山」は身分が高貴な女性の譬え。

とても近寄りがたいけれど、恋心はおさまらない。

手が届かないほどの相手だからこそ、そう思う場合もある。

古代日本は、現代以上の格差社会。

深窓の令嬢などと結婚できるのは、それにつりあった男性。


貧乏な下級官僚の嘆きの歌と思う。

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