第400話時に臨みき(9)

暁と 夜烏鳴けど この森の 木末が上は いまだ静けし

                    (巻7-1263)

※夜烏:五井鷺の異名。夜行性の鳥で、夜明け前の暗いうちに、そのねぐらに帰る。通説では夜に鳴く烏とも。


もう暁ですよと夜烏は鳴きますが、ここの森の木々の梢は、まだ静かです。


夜烏は、夜這いから帰っていく男。

まだ静かな、森の木々の梢は、女の家の周りの人々の噂だろうか。


男が詠んだと捉える場合は、暗い暁の静けさを一人行く男の気持。

女が詠んだと捉える場合は、まだ噂が立っているほどではないので、もう少し一緒にいて欲しいとの引き留めの歌。


舞夢としては、女性の気持のほうが、情が深いとして訳してみた。

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