第399話時に臨みき(8)

あしひきの 山椿咲く 八つ峰越え 鹿待つ君が 斎ひ妻かも

                      (巻7-1262)

※斎ひ妻:夫が猟に出かけている間、その無事を祈り潔斎して待つ妻。


山椿が咲く数多くの峰々を踏み越えては鹿を狙う貴方。

私は、そんな貴方の帰りを身を清めて待つばかりの妻なのでしょうか。


夫の猟の無事を願い待ち続ける健気な妻の歌ともとれるけれど、実は、あちらこちらに女を求めて渡り歩き、自分のところには滅多に来ない男を恨む女の心情ともとれる。

その理由としては、「山椿咲く八つ峰越え」は、「美女を求めてさまよう」の意味ととれるから。

このように万葉集は、単純、素直には読み解けない。

ここに万葉集の面白さがある。

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