第347話露を詠みき
ぬばたまの 我が黒髪に 降りなづむ 天の露霜 取れば消につつ
(巻7-1116)
私の黒髪に降りかかる大空からの露霜は、手には取りましたけれど、消えてしまうのです。
おそらく寒い日の夜、戸外で愛しい男君を待つ女の歌。
大空からの露霜は、身分の高い男君からの愛情か。
その愛情をかけられたこともあるけれど、消えてしまうのだから、すでに夜離れの状態らしい。
別の女が出来たか、自分が飽きられたか。
待ち続ける女の生身の身体は冷え続け、しかも男君の愛は消えゆくのみ。
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