第336話山を詠みき(2)

みもろづく 三輪山見れば こもりくの 泊瀬の檜原 思ほゆるかも

                         (巻7-1095)


檜林が続く三輪山を見ていると、泊瀬の檜原を思い出してしまいます。


泊瀬は三輪山東の渓谷の地。広大な檜原があった。

よほど、その泊瀬の檜原に思い入れの強い人が、懐かしみ、賛美する歌と思われる。



古の 事は知らねを 我見ても 久しくなりぬ 天の香具山

                         (巻7-1096)


遠い過去のことはよく知りませんが、今に生きる私が見はじめてからも、天の香具山は、その神々しさは、長らく全く変わることはありません。


香具山は、神代の時代からの聖地、ずっと眺めてきて、今また、目の前に眺めて、何か深い感動を覚えたのかもしれない。

古くからの人の想い、そして昔からの自分の想い、今まさに見た自分の想い、それが渾然となる感覚。

古くから人の想いを集めてきた聖地には、不思議な力があるようだ。


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