第337話山を詠みき(3)

我が背子を こち巨勢山と 人は言へども 君も来まさず 山の名にあるらし

                              (巻7-1097)

紀伊道にこそ 妹山ありといへ 玉櫛笥 二上山も 妹こそありけれ

                              (巻7-1098)


私の愛しい人を、こちらに来させるという名前の巨勢山と、人は言うのですが、愛しい人は来ないのです。ただ、山の名前と言うだけなのですね。


紀伊路に妹山があると世間では言っているのですが、この大和の二上山にも妹山があるのです。


「背子」と「妹山」の地名に絡めて宴会で詠んだ座興のような歌らしい。

一首目は、ほぼ駄洒落のような感じ。

二首目は、わざわざ紀伊にいかなくても、大和にもいい女がいますよと、からかうような感じだろうか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る