第325話海人娘子 玉求むらし

筑前守外従五位下葛井連大成の、遥かに海人の釣船を見て作りし歌一首


海人娘子 玉求むらし 沖つ波 恐き海に 船出せり見ゆ

                          (巻6-1003)


海人の娘が、真珠取りをするようだ。

遥かな沖の荒波の、恐ろしい海に向かって船出をするのが見える。


それが仕事と言えばそうなるけれど、うら若き娘が、遥か沖に、しかも波が荒いのに船を出し、真珠取りをするのは、実に恐ろしく不安。

おそらく娘本人以上に、見ているだけの人のほうが不安は尽きない。

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