第320話難波宮に幸したまひし時の歌六首(2)

眉のごと 雲居に見ゆる 阿波の山 かけて漕ぐ舟 泊まり知らずも

                          (巻6-998)

右の一首は船王の作なり。


眉のように、遥か雲のかなたに見える阿波の山。

その阿波の山をめざして漕いでいく舟は、どこの港に泊るのだろうか。


現実的には、難波宮や住吉浜からは、阿波の国の山は見えない。

遠く西南の方向に見える淡路島を、それと考えたのかもしれない。

ただ、いつの頃からか、徳島市にある山が眉山と呼ばれ、その眉山が万葉集に詠まれた阿波の山であるとされるようになっている。

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