第321話難波宮に幸したまひし時の歌六首(3)
千沼廻より 雨そ降り来る 四極の海人 網を乾したり 濡れもあへむかも
(巻6-999)
右の一首は、住吉の浜を遊覧して、宮に還りし時に、道の上にて、守部王の詔に応へて作りし歌なり。
※千沼:大阪府南部、堺市から岸和田市にかけての地域。
※四極:大阪市住吉区周辺。当時は海岸線がそこまで迫っていた。
千沼の方向から雨が降って来ます。
それなのに、四極では漁師が網を干しています。
このままでは、雨に濡れてしまうのではないでしょうか。
右の一首は、住吉の浜を遊覧し、離宮にお戻りになる際に、道中、守部王が天皇の詔に応えて作った歌。
雨が降るのに、網を干すのはどういうものだろうか、網も濡れるし、その前に人も濡れると詠んでいる。
歌としての裏の意味が込められているかもしれないけれど、深読みが難しい。
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