第295話山部赤人吉野賛歌(1)

やすみしし わご大君の 高知らす 吉野の宮は たたなづく 青垣ごもり 川なみの 清き河内そ 春へには 花咲きををり 秋へには 霧立ち渡る その山の いやますますに この川の 絶ゆることなく ももしきの 大宮人は 常に通はむ

                                (巻6-923)


我が大君が、天にも届くように高くお造りになられた吉野の宮は、幾重もの青垣の山々に囲まれ、水の流れが清い川の内にあります。

春になれば桜の花が咲き誇り、秋になれば霧が立ち渡ります。

その山々が重なり続けるように、この川が絶えることのないように、大宮人は永遠にこの宮に通うことでしょう。


前出の笠金村の(巻6-920)の歌と同じ頃、聖武天皇の吉野行幸時の儀礼歌と思われる。

素直で、無駄のない表現、さすが山部赤人と思う。




  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る