第244話また大伴宿祢家持の和せし歌三首
また大伴宿祢家持の和せし歌三首
今しはし 名の惜しけくも 我はなし 妹によりては 千度立つとも
(巻4-732)
うつせみの 世やも二行く 何すとか 妹に逢はずて 我がひとり寝む
(巻4-733)
わが思ひ かくてあらずは 玉にもが まことも妹が 手に巻かれむを
(巻4-734)
今となっては、名前が惜しいなどとは思いません。貴方となら何度噂されてもかまいません。
人として生きる世は一度しかないのに、なにゆえに、貴方に逢うことができずに、私はひとり寝をしなければならないのでしょうか。
私のこの思いは、これほどに強いのです。もう、玉となってもかまいません。そうすれば貴方の腕に巻く玉になりましょう。
坂上大嬢に対する熱のこもった求婚歌である。
もはや噂など気にしないどころか、貴方との噂なら、どれほど立てられてもかまいません。
とにかく、貴方と共寝したくてどうしようもないし、貴方が玉として腕に巻きつけていたいのなら、喜んで玉になりましょう。
実に「あからさま」と思うけれど、既に恥や外聞など怖れない。
むしろ、人の噂話まで、援軍につけて坂上大嬢に迫る。
二首目も、三首目も、とにかく坂上大嬢に接していたい強い気持ちの現れ。
さて、この強い求婚歌に、坂上大嬢はどう返すのか、次回以降も二人の相聞は続きます。
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