第245話同じ坂上大嬢の、家持に贈りし歌一首
同じ坂上大嬢の、家持に贈りし歌一首
春日山 霞たなびき 心ぐく 照れる月夜に ひとりかも寝む
(巻4-735)
春日山に霞がたなびき、心まで曇るような、おぼろ月夜に、私は一人寝をするのでしょうか。
とにかく大伴家持が来ないのが一番に辛い。
来てくれれば、春日山の霞も、おぼろ月夜も、どうでもいいと思う。
愛を語らいながら、身体を重ねたいのが、坂上大嬢の本心。
本当に好きでなければ、こんな歌は詠めない。
つつましい表現ながら、秘められた心は、実に熱い。
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