第189話紀女郎の怨恨の歌(3)
白たへの 袖別るべき 日を近み 心にむせひ 音のみし泣かゆ
(巻4-645)
別れの日が近くなり、私は心の中ではむせび、声をあげて泣いています。
心ならずも、愛する夫とは別れることになってしまった。
その日が近くなると、それを恨みつつ、泣くしかない。
何しろ不敬罪、采女に横恋慕した夫安貴王への気持ちは、実に複雑。
悔しいやら哀しいやら怒りやらだろうけれど、想いは無理やり断ち切るしかない。
自分を裏切り、帝まで裏切った夫に、実際に声をあげて泣くことは、難しい。
だから、心の中でのみ、声をあげてむせび泣く。
この歌も、なかなか辛い歌と思う。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます