第169話笠女郎 天地の 神の理 なくはこそ

天地あまつちの 神のことわり なくはこそ 我が思ふ君に 逢わず死にせめ

                       (巻4-605)


天の神、地の神の御判断がないのなら、恋しい貴方に逢うことがなく、私は死んでしまうでしょうけれど。



この歌の真意は、

「神に間違った御判断などあるはずはないので、私の、これほど貴方を思う気持ちを必ずお認めになられている、だから、きっと貴方にお逢いできると信じています」

というものだと思う。

かつて、大伴家持との逢瀬を持ったこと、それも天地の神の御導きなのだから、思い続けていれば、必ず再びの逢瀬が叶うと信じきる。


何とも、一途な恋心と思う。

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