第167話笠女郎 思ひにし 死にするものに

思ひにし 死にするものに あらませば 千度ちたびそわれは 死にかへらまし

                               (巻4-603)


人が恋で死んでしまうものならば、私など千回も繰り返し死んだことでしょう。


笠女郎の激しい恋心を象徴するような歌。

苦しくて苦しくてしかたがないけれど、死にきれない。

何とかして、大伴家持との逢瀬を果たしたい。

しかし、逢うことはかなわず、また死ぬような苦しい思いを無限に繰り返すことになる。


大伴家持に恋の歌を贈りながら、これは笠女郎の苦しい心のつぶやきのような歌になる。






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