第159話笠女郎 わがやどの

わがやどの 夕陰草の 白露の 消ぬがにもとな 思ほゆるかも

                        (巻4-594)


庭の夕陰草の葉にの上の白露のように、今にも消えてしまいそうなほど、どうしようもなく貴方に恋い焦がれているのです。




※夕陰草:物陰に生えている草


笠女郎は、自分自身を家持を物陰から見ているだけ、物陰草のような儚い立場と自覚したのか。

そして、すぐにも消え去ってしまうような白露に、あるいは命がけの恋(恋死に)の意味をかけ、それほどまでに、どうしようもなく貴方に恋い焦がれていると、詠みかける。



届かぬ苦しい恋の名歌と思う。


【派生歌】

庭におふる 夕かげ草の 下露や 暮を待つまの 涙なるらん (藤原道経[新古今])

水無瀬山 夕かげ草の 下露や 秋なく鹿の 涙なるらん (源通光[続千載])

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