第158話笠女郎 君に恋ひ

君に恋ひ いたもすべなみ 奈良山の 小松が下に 立ち嘆くかも

                         (巻4-593)


貴方が恋しくてどうしようもなくて、奈良山の松の木の下に立って嘆いてます。


奈良山は、奈良市北郊の丘陵地。

そこからは、愛しい家持の邸のある佐保の里を眺めることができた。

笠女郎は、もしかして姿くらいは見えるかもしれないと思い、松の木の下に立った。

しかし、姿が見えたのだろうか、見えなかったのだろうか、どちらにせよ逢うことのない片思い状態。

家持が笠女郎のいる松の木にまで来ることはなく、ただ立ち嘆くばかり。


実に、実らぬ恋は、苦しい。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る