第147話草枕 旅行く君を愛しみ
太宰大監大伴宿祢百代等の駅使に贈りし歌二首
草枕 旅行く君を 愛しみ たぐひてそ来し 志賀の浜辺を
太宰大監大伴宿祢百代 (巻4-566)
周防にある 磐国山を 越えむ日は 手向けよくせよ 荒しその道
少典山口忌寸若麻呂 (巻4-567)
旅路を行く貴方を愛しく思うので、この志賀の浜辺まで、ついて来てしまいました。
周防の国の磐国山を越える日には、峠の神に手向けをしっかりと行ってください。
険しくて危険な山道なのですから。
万葉集の左注釈によると、大宰府にいた大伴旅人は天平2年(730)6月に大病(脚に瘡ができる病気)を得て、遺言を伝えるために、都から弟と甥を呼び寄せた。
しかし、その後(数十日後)、病状が回復。
百代、若麻呂、家持らが駅家にて、帰京する両人の送別の宴を開いた時の歌とある。
尚、陸路で上京する場合は、ほぼ二週間の行程。
志賀の浜辺は、古代では博多湾周辺の海岸。
歌を詠んだ駅屋は、蝦守(ひなもり)駅で、現福岡市の東隣糟屋郡粕屋町付近と想定されている。
懸念された大伴旅人氏の病状も回復。
懐かしい弟と甥との対面も、実現。
あとは、宴会を開いて、彼らを送る。
安堵した気持ちと、惜別の気持ち。
道中は無事を願うから、しっかりと磐国の峠の神には手向けをして欲しい。
様々な意味で、愛情がこもる二首と思う。
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