第132話 采女を送る歌
大伴宿奈麻呂宿祢の歌二首
うちひさす 宮に行く児を まかなしみ 留むれば苦し やればすべなし
(巻4-532)
難波潟 潮干のなごり 飽くまでに 人の見む児を 我しともしも
(巻4-533)
※うちひさす:宮にかかる枕詞。
宮仕えに上がる少女が愛おしく、引き止めれば苦しいことになるし、行かせてしまえば、切なくてどうにもならない
難波潟の引き潮の後の遠浅の美しい海と同じで、見飽きないような美しい少女。
私は、もはや見ることはないでしょうが、それを見ることのできる都の人がうらやましいのです。
大伴大伴宿奈麻呂宿祢は、この当時、備後守。
任国の備後から、美少女を朝廷に采女として送り出す時に詠んだと言われている。
家族や、その一族の期待、国の期待を背負って、地方の美少女が見も知らない都へ向かう。
その国の守として、最大の讃辞を贈ったのだと思う。
采女として選ばれた美少女を褒め、また離別を悲しむ。
当の采女として選ばれた美少女は、どんな気持ちだったのだろうか。
選ばれたうれしさと、都に行ってからの不安。
家族や知人、郷土と別れる寂しさ。
どんな讃辞を贈られても、心は複雑なものだったのではないだろうか。
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