第85話 軽の池の

紀皇女きのひめみこの御歌一首

軽の池の 浦廻うらみ行きる 鴨すらに 玉藻の上に ひとり寝なくに

                        (巻3-390)


軽の池の浦のめぐりを泳ぎ回る鴨でさえ、玉藻の上には一人寝をしないのに。


なんとも素直に、一人寝の寂しさを詠んでいる。

鴨のような自由な身になりたかったのだろうか。

そうすれば、愛しいあの人と、共寝ができるのに。

複雑な立場が、なかなか自由な恋愛を許さない。

だからこそ、恋心は増すのだけれど。


紀皇女は天武天皇の皇女。

弓削皇子(異母)とは恋愛関係にあったと言われている。

「軽の池」は奈良県橿原市にある剣池。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る