第8話 宇治間山朝風寒し

宇治間山うじまやま 朝風寒し 旅にして 衣貸すべき 妹もあらなくに


                           長屋王(巻1-75)


宇治間山の、朝の風が寒い。

旅の空では 衣を貸してくれる わが妻もいないのに。


長屋王が吉野離宮と飛鳥との旅の途中、宇治間山(現在では未詳)を通過した時の歌。

肌を突き刺すような、朝の冷たい風だったのだろうか。

都に待つ妻、長屋王は、その温かい肌を焦がれている。


※長屋王は、天武天皇の孫。壬申の乱で活躍した高市皇子の子。

 絶大な権力、広大な富と屋敷を有するようになるけれど、やがては謀反の冤罪を課せられ、聖武天皇と藤原氏により、自害に追い込まれてしまう。


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