第5話 ニート侍、家を買う・1

 一度は完結しといてなんだが、やっぱりニート侍の日常を書きたくて復活しました。

 そう3年ぶりの連載です。

 そしてその最初のお話は――――


「現代日本のことをよく知りたい?」

 

 それはニート侍が現代に転生してすぐのことだった。

「そうで御座る。某は日乃本の国の変わりように大変驚いているので御座る。」

「そうでしょうね。戦国時代から500年ほどたっていますし、松永さんはそこに異世界を挟んでいるのですし。」

「いや、異世界挟んでなくてもこの変わり用には目を疑うで御座る。ここホントに異世界じゃなくて某の居た世界の未来で御座るか?てかなんと申した。500年。500年も経ってしまっておるので御座るか。」

「そうですよ。松永さんのいた異世界とは時間の進み方が違いますからね。それだけ進んでしまってます。」

「なんともはや、奇怪極まりない。某、まるで浦島太郎になった気分で御座る。」

「じゃあ玉手箱を用意しましょうか。」

「結構で御座る。某は若い体で余生を過ごしたいで御座る。」

 とはいってもニートの体はもう30ほどのオジサンであるが。

「それより現代の知識をよく知りたいで御座る。」

「なるほど、ソレは趣味としてでございますか。」

「趣味で御座るな。」

「ということは結構こだわられますよね貴方。」

「そうで御座るな。」

「……でしたらまずは拠点を作りましょう。」

「拠点で御座るか。」

「そう。家を買いましょう。ぶっちゃけホテル暮らしも飽きてきましたから。」


 という訳で、ニート侍は今不動産屋に居る。

「で、あんちゃん予算のほどはどれくらいなんですか。」

 今ニート侍の向かいの席ではパンチパーマのオジサンがニート侍の顔を覗き込んで威嚇してきている。加えてタバコの煙を吹きかけられる始末。

「あの女神殿、何故某はこんなに邪険に扱われているで御座るか。」

「それはたぶん松永さんにお金の匂いがしないからじゃないからですか。」

「確かに某、女神殿にたかるばかりで無一文で御座るが。」

「私に任せておいてください。」

 そう言って女神がおもむろに立ち上がると――――


 スパッアアアアアアアアアン!


 女神が手を振りパンチパーマがスッ転ぶ。

「こちとら客だぞ。なんだその態度は。とりあえず100万。これで文句あんなら中身満載のアタッシュケースでぶん殴るぞ。」

「この尼舐めてっと――――


 どぐぼしゃアアアァアァァァァ!


 どこから取り出したか銀色のアタッシュケースでパンチパーマを黙らせる。

「こいつ何もんだ!」

 奥に居たもう一人の店員が懐から銃を抜くと――――


 キッン!


「切ってしまってよかったので御座るよな。」

 銃は真っ二つに斬られて地面に転がった。

「問題なしです。そら、ここに用意したのは1億円。予算ならまだあるから客としてちゃんと案内しろ。」

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ニートが斬る!! 軽井 空気 @airiiolove

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