こちら、幸福安心委員会です。女王様と特別情報体の秘密生活(シークレットライフ)

亜夕@宙姫

・〜 プロローグ〜・女王様、初めての思春期

【サイレン女王】みずべの公園市国 中央電波塔


幸福なのは、義務なんです。

それがこのみずべの公園市国の絶対義務なんです。

私は今日も市国民の幸福と安心を管理する義務を果たしているんです、けれどそんな大切な仕事の途中だと言うのに他のことが気になっているんです。

"黄波 漣"と言うイエローマーカーの事。

このイエローマーカーは不思議なんです、当の前に切り離したはずなのだけれどどうしても、リバース舞い戻ってくる?切っても切り離せていない存在、どうしてか切り離すことが出来ないんです……。

この私に知らないことなど、出来ないことなど無いはずなのだけれど…切り離すことが出来ず持て余している存在黄波 漣……まさか!私自身が切り離すことを躊躇しているとでも言うの?私にはどうしても分からないんです、もしかしてこれは…?そんな事を考えていたら顔が火照って来るのが分かる…このちょっぴり恥ずかしくなって頬が熱くなる感覚は危険かもだけれど…ちょっぴり気に入っている、だから少しくらいは放置しておいていいのかも?エラー警告が来たら切り離せばなんてことないんです。

そう思いつつ私は座っていた架空座椅子から立ち上がりクローゼットを開く、沢山のドレスの中からこの間届いたばかりの新しいドレスを手に取りさっそく着替えてみる、胸元や袖にはレース素材の生地に1ミリの狂いもなく綺麗に薔薇が刺繍されていてフリルが多いけれど正面から見たら少し足が見えるくらい裾が折られたプリーツドレス…少し大胆だけれど大人らしいデザインで気に入っている…新しいドレスを身にまとった私は、いつものように1つのモニタを鏡替わりにしてぐるっと一回転してみる、するとヒラヒラとドレスの裾やツインテールに結ってある髪も同時に揺れた…私は鏡替わりのモニタに映る自分を見ていて不意に想像し考えてしまった…私の気になっている存在、黄波 漣 彼が今の私を見てくれていたならどんな反応をしてなんて言ってくれるのだろうか?「綺麗ですね?」「素敵ですね?」「よく似合っています。」と言ってくれるのだろうか?そんな事を考えながら美しく映る自分に見とれて、最高の幸福感に浸っていたのに…邪魔をされた。

姿見にしていたモニタの隣のスクリーンが点灯、チカチカまたたき青と黒の燕尾服姿を映し出す、スクリーンの中からシルクハットを取って一礼してきたのは、私の忠実な得徒長にして道化師ジョーカー、同時に死刑執行管でもあるキューレボルンだ、白いシャツの襟元には蝶ネクタイで正装している…かしこまった様子でいつものように片手を胸の前に曲げて深々と頭を下げて挨拶してきた。


「失礼致します我らが女王陛ハーマジュスティーお取り込み中でございましたか??」

「あらキューレボルン、ご機嫌よう。そうなの、察しが良くて助かるわ…それより、どうかしらこのドレス…少し大胆とも思わなくはないけれど大人っぽいデザインで私にピッタリだとは思わない?彼がみたらなんと言ってくれるかしら、楽しみね…。」


私がそう言うと、キューレボルンはわざとらしく両手を肩幅くらいに広げて驚いたようなポーズをとりやれやれと言わんばかりに肩をすくめる。


「なんと…女王陛下自らがこの中央電波塔から離れられるとは、失礼ですが幸福と安心の監視をする義務を後回しにする程の大切な場所へのお出かけなのですか?幸福と安心を絶対義務とするみずべの公園市国の女王陛下がこのように簡単に中央電波塔を離れられては、この私も市国民も困ってしまいます!」

「この絶対女王サイレンが決めたのだから、義務と言ってもいいの、私は何と言われようと予定を変更するつもりはないわ…。」

「もう完全に決定されているのですね?女王陛下は、あのイエローマーカーに直接お会いになられるおつもりなのですね?」

「えぇ、キューレボルンの言う通り、決定したもの、それに、今日はいつもとは少し違う気持ちなの普段は会えたらいいくらいに思っているのだけれど今日は違うのよ、彼の全てを知りたい、隣にいるのなら触れてみたいって強く思うの、やはり、彼はすごく不思議な感情勾配を私に与えるの。」


今度はどこからかチョコミント青色のアイスを取り出していた、一体この一瞬でどこからかアイスを取り出したのだろう、まるで手品のよう、私が少し目を丸くして見つめているとコホンとどこかの本にでも出てくる科学者のように咳払いをしてニヤニヤと掴みどころのない顔をしながらまたおおげさに肩をすくめる。


我らが女王陛下、ハーマジュスティーそれは、とても危険な感情です、ですが人間なら誰しも1度は体感、経験する感情です、用語で言うとしたら、でしょうか?」


そう言い終えるとアイスの表面を赤い舌でチロチロと舐め始めた…今は先程の内容よりアイスの方が重要なのだろう、ふざけているのか真面目なのか分からない、まぁ何事にも不真面目なのはいつものことだし道化師ジョーカーなのだから仕方ないのかもしれない、だから放って置くことにする。

にしても"思春期"…それは一体どんなものなの?不幸に繋がるものでなければいいのだけれど?私の目の前にいる道化師キューレボルンは、"とても危険"などと言っていた、さっきの不真面目な態度で分かる通り彼は道化だから本当のことを言っているのかは、はっきりしないけれど…。


「思春期?どんな危険があるというの?この私が知らないことを知っているのかしら?」


私はキューレボルンを見据えてみるキューレボルンは相変わらず わざとらしくおどけて見せながら手の平をこちらに向けおおげさにぶんぶんと振って私に向けてくる。


我らが女王陛下ハーマジュスティー非常に申し上げにくいのですがこの私が女王陛下にお話する訳にはいきません…。」

「それはどうして?何らかの方法で処刑して欲しいからかしら?」

「まさかまさかっ!!そのような事はっ!」


私がずっとこの部屋じゅうを旋回していた浮遊モニタを手に取り処刑アイコンをタップして処刑方法はどれにしようかと迷っていると本当に慌てた様子の道化師キューレボルンは話を逸らし話を変えてくる


「そうです!!我らが女王陛下ハーマジュスティー処刑より良いオタノシミがございます!女王陛下と100%リンクした情報体 "翠川初音"を使用すればいいのです!話は戻ってしまいますが、情報体…翠川初音を使用すれば直接会いに行かずともいつでもあのイエローマーカー・黄波 漣を監視することができるのです!市国民も私も幸福で安心でいられ、女王陛下にもいいことがあり、一石二鳥かと思われますっ!我らが女王陛下ハーマジュスティー如何でしょうか?」


私は浮遊モニタを指先でクルクルと回しながら道化師キューレボルンを見据えつつも冷静になって考えてみる、確かによく考えてみればキューレボルンの、言っていることも一理あると思う、私が中央電波塔を離れてはいろいろ困ることもあるかもしれない…それにいつでも監視ができてドキドキが止まらないような感覚・感情勾配が味わえるのならいいとも思った、私はいつも通り情報体の翠川初音を使用することにした。


「そうね…その通りかもしれないわね、キューレボルンの言う通り、みずべの公園市国の幸福と安心の為、直接会いに行くのは中止にします。」


私の言葉を聞きおおげさに胸の辺りに手を当てて安堵の溜息をついているそんな彼に肩をすくめる、ニタニタ笑いのキューレボルンは気にしていないよう、何事にも不真面目な道化師ジョーカーの義務だから仕方ない…それにこんな道化師ジョーカーでも私がこの中央電波塔に必要な存在なのと同じように道化師ジョーカーキューレボルンも重要な存在なのだし見栄えもそこそこいいから私は放置している…そしていつの間にかニタニタ笑いを浮かべていたキューレボルンが真剣な表情をしている…そんなキューレボルンがモニタのひとつを指さした


「お話変わります、こちらのモニタをご覧下さい。」

「いいけれど、なるべく手短にお願いするわ…。」

「勿論でございます!実は女王陛下にお会いして頂きたい方がおります。」

「それは、誰?」

「今、ご紹介致します。」


キューレボルンがそう言うと、彼の指さすモニタがチカチカ瞬きシアン色のロングフリルワンピースを着た1人の少女の姿が映し出された…身長はそれほど高くない、私の分身である翠川初音よりも少し小さいくらいだろうか?少女が来ているシアン色のフリルワンピース、胸元は白いフリルとレースで女の子らしいデザイン、袖口やスカートの裾にまでフリルやレースがついている…モニタに映る少女は、頭を下げて一礼してきた。


「失礼致します。初めまして…サイレン女王様……いえ、我らが女王陛下ハーマジュスティー。」


私に挨拶をしてきた彼女は、緑音 歩未 サイレン=オンディーヌシステムの市国民表から検索してすぐに分かった、それと同時に彼女が何故この中央電波塔に来たのかすら絶対女王である私には手に取るように分かる、全てお見通しなんです…。


「女王陛下なら私が何故、みずべの公園市国に来たのかすらも分かってらっしゃると思いますので名前だけ私の口からしっかりと名乗らせて頂きます、私は 緑音 歩未みどりね あゆみと言います、どうぞお見知り置きを。」

「あら、それはどうも、ありがとう。ここまで来てくれたことにはすごく感謝するわ、私からなにかを言うとしたら、楽しみは早めに味わいたいの、そういうの分かるでしょう?」


私がそう言うと彼女は、微笑み頷く、まるで私に傅くように片膝立ちをして、腕を胸の前で曲げた…このポーズには見覚えがある、道化師キューレボルンだ、数分前に少し状態は違うけれど同じようなことをしていた…ただ、彼女の場合キューレボルンとは違い真剣だし少しの冗談性も含まれていない、わかりやすく言うなら真剣さは彼女の方が上なんです。


「女王陛下が、退屈なさらぬよう明日には任務実行する予定…いえ、決定時効です。」


「楽しみにしてるわ」


「そこでひとつだけお願いがあります……。」


「あら、何かしら」



私がそう聞くと、さっきまでの自信がある表情が少し崩れ、話しずらそうな顔を一瞬だけ見せたが、真剣な表情に戻り、そのまま伝えてくる。



「ある程度の、躓きには目を瞑って頂けないでしょうか……。」



私は、ビックリとした、彼女は小さな駆け引きを私に持ち掛けてきたのだ、私の事を楽しませる事を了承し、明日から任務に入る代わりに、小さな罪だけを見逃して欲しいと、この絶対女王の私に直接お願いしてきているのだ……そんな事は、みずべの公園市国にあるまじき事であり、絶対女王サイレンである私が許可するはずもない事だと分かって言ってきている彼女...私はこぼれ出した笑みを隠すこともせず、心の底からの笑顔で彼女を見据える……。



「ふふ、あらあら、私に駆け引きをするなんて、不幸で不遜で危険な事だとは思わなかったの??…」


「いえ、勿論分かっています、自由処刑を覚悟の上です……。」



なんという子だろう…自由処刑を覚悟の上で私にこんなことを持ち掛けて来るなんて……私はこんな感覚をどこかで覚えた気がする…彼と全く同じだ……そう、あのイエローマーカー黄波 漣彼と同じなのだ……あのイエローマーカーに似ているのもあり、ここまで覚悟の上で私にこんなことを持ち掛けてきたのだ…今回は特別に許可を出してあげることにして、目を伏せため息をひとつ着く……。



「いいでしょう……今回は特別に許可を出してあげる…但し、許容範囲を大幅に超えるものについては私の判断と権限で即自由処刑を下すわ……それでどうかしら……」


「この様に特別に許可を頂けて私はとても幸せです、ありがとうございます我らが女王陛下、女王陛下が楽しんでいただけるよう専念いたします、失礼しました。」



彼女は、私を真っ直ぐと見つめ真剣さを欠かない目と恐れない心持ちで、私に深々と一礼をしてきた、こんなふうにしっかりと私の顔を見る市国民は、黄波 漣だけだと思っていたし、普通の市国民で私をしっかりと見ていられる者はいない、大体の市国民は、直ぐに私の笑顔に負けて目を逸らしてしまう、けれども彼女は、最後まで私を見つめていた私は彼女に少し期待をした、そしてそれを胸に幸福な笑顔で彼女の背中を見送る……。

私と彼女のやり取りに何も口を出さなかったキューレボルンは、言いずらそうに聞いてくる。



「本当によろしかったのですか?我らが女王陛下……」


「道化師キューレボルン、ここでは、私が絶対権限を持っているのは、貴方なら分かっていることでしょう?……勿論、重大な不幸は許さないけれども少しだけなら目を瞑ってあげてもいいんじゃないかしら……その分彼女は、楽しませてくれそうだもの、そう言うの私には分かるの……それに、私が許可した事しか出来ないのがこの、みずべの公園市国なの、私が許可したのなら、それは義務であり、ダメなことではないの。」


「なるほど、うん!……それもそうなのでしょう……我らが女王陛下の決定なのですからっ!!」



真面目なのか不真面目なのか相変わらず分からないような反応をしてキューレボルンは一礼してモニタと共に姿を消した、なんだか気に触る態度だけれども彼は道化、仕方なく放っておく事にした……。



「本当に顔はそこそこなのになんて残念な性格なのかしらね……」



そう一言苦笑いしながらも再度架空座椅子に座り、みずべの公園市国に住む市国民全員の幸福と安心を監視する仕事に戻りながらも、私は明日からの監視が楽しみで仕方がないんです……。

あぁ…なんて美しく調和の取れた理想郷みずべの公園市国っ!!


【翠川初音】青村家・自分の部屋


「今は何時だろう……。」



私は、ローテーブルの上に置いてある時計を手に取って時刻を確認する、すると時刻は既に11時30分を回っていた、今日は幸安インターの任務で動き回っていたせいか、足は痛いしお風呂に入っても何故か疲れがとれないで溜まったままでいるのが分かった……。



「ちょっと夜更かしし過ぎちゃったかな……そ、そろそろ寝ようかな……。」



そう一言、私が立ち上がった瞬間に部屋のドアがノックされてビクリと肩が跳ねて、返事をすると直ぐに外から声が飛んでくる……。



「は、はい……」


「初音、今……大丈夫?」



声の主は、漣くんだった、私はあたふたとして下ろしていた髪をシアン色のシュシュで急いで結ってドアを開け、漣くんを部屋へと招き入れる……慌てて整えてはいるけれど変に見えてないか…少しだけ気になって漣くんをちらりと見てしまうけれど、漣くんは、いつも通り無表情で部屋に入って来て、ソファーへと座る、私は迷わずに隣に座って少しだけトクトクと音を立てる心臓を落ち着かせるように胸に手を当てる……。



「こんな時間にごめん。」


「だ、大丈夫……ま、まだ寝れそうに無かったから……」



私は首を左右に振る、それと同時にシアン色のシュシュで結ってあるツインテールも微かに揺れた。



「ありがとう、初音。」


「いえいえ…そ、それより……どうしたの?」


「今日の幸安の任務の事で気になる所があって…やっぱり少し怪しいと思ってたことがあるんだけど…初音はどう思う?…」



今日の任務は、【ジャック】と言う名前で呼ばれている不幸分子の捜索だったけれど、怪しいと思う人物は見つけられたものの、その人物が不幸分子【ジャック】と言う決定的な証拠を掴むことは出来なくて、今日のところは探すだけ情報を集めてその人に詰め寄る事はせずに帰って来たのだった……。



「う、う〜ん……あの男の人の事だよね?」


「そう、僕の考えはこうだな、1つ目は不幸分子【ジャック】そのもの、2つ目は人探し、初音はどう感じた?」


「その…【ジャック】って不幸分子は、名前の通り…色々な乗り物や、携帯端末をジャックしてるんだよね?」


「うん、基本的には、PCや携帯端末が被害を受けてるみたいだけどね……。」



私は任務中の事を思い出す、私達は、中央区を全体的に捜索をしていた、理由は大体のコンピュータアクセスは、中央区大電波塔での管理が主でそこを崩さない限りは、サイレン女王様の権限に守られてジャックするのは不可能に近い、それに、例え不幸分子であろうとサイレン女王様の権限が張り巡らされれ厳しい場所からわざわざ見つかりに行くようなことはしないはずというのも理由、そして何より中央区でも時折電波障害がよく起きる地域はある、そこの可能性を踏んでいた漣くんの話から、探していた、大体捜索して中央区第一町まで戻って来た時先を歩いていた漣くんが急に歩みを止めて立ち止まった、その時漣くんの目は、操作していたゴシックから外れ歩道の端っこでキョロキョロと周りを見ている男の人へと向けられていた……その後漣くんは少し考え込むようにしていたけれど、「決定的な証拠がある訳じゃない……行こう」そう言って結局今日の任務は終わったのだった、家に帰ってきてずっと考えていたのだろうか……分からないけれど多分漣くんは答えを探している……。



「初音はどっちだと思う……?」



そう聞かれたら答えるしかない、任務中に見た男の人の事を少し思い出し私はふと思った、彼が不幸分子だとして、あんなに人の多い町で堂々と誰にでも「怪しい」と思われるような行動を取るだろうか…普通、幸安委員に目をつけられるような危険な行動は避けるのでは...?合っているかは分からないしはっきり言って自信はない……けれど漣くんに聞かれたのだからしっかり答えなきゃ...胸の前で手を重ね合わせ思った事をそのまま伝える…。



「私は…え、えっと...人探しかなって思う...。」


「なるほど?……理由、聞かせて?…」



漣くんはそう言って真隣の私の顔を見つめてくる、見られているだけでドキリとしてしまう、けれど胸に置いた手で心を落ち着かせながら理由を漣くんに話す。



「もし、彼が不幸分子なら、目立った行動はしないんじゃないかなって……キョロキョロしていたら、すぐに幸安委員だったら漣くんと同じように怪しむから、すぐ捕まっちゃうんじゃないかな...だ、だから不幸分子じゃないんじゃないかな?...」



私がそう言うと漣くんは、何も言わずいつもの様に、考え事をする時の顔へと変わって自分のゴシック、携帯端末をいじって何かを調べ始める、素早くフリックして文字を入力している、そしてまたタップをしてスワイブ、一つ一つの行動が早い、そんな漣くんを見ていた時、私のココロの中に水滴が落ちてきたような音がした気がした……もしかして?と思ってしまうけれど深く考えるのはやめる事にしたんです……でも結局その決まりもすぐに破ってしまう……だってほら、こんな声が聞こえるから...。



《なんでもっと近寄らないの?もっと近付いてもいいのに……。》



気のせいかもしれないけれど、考えてしまったら頭から離れなくてどうしてか私は漣くんを見てしまう、漣くんもいつの間にか私を見ていて目と目が合ってしまう……目が合ってしまってだんだんと恥ずかしさで耳朶が熱く赤くなって行くのが分かってしまって私は、ツインテールの片方を口元に持っていって口元を隠す……本当だったら顔全体を隠してしまいたいんです……。



「初音の言っていた通りかもしれない、99%それで合ってると思う。」


「えっ?」


「これ見て……」


「し、市国民表……?」



漣くんは、そう言ってさっきまで操作していた、ゴシックの画面を私が見やすいように私の方を正面にして私に見せてくれる、画面を見ると映し出されていたのは、市国民表だった、市国民情報の載っている市国民表の最初の列には、今日中央区で見かけた、さっきまで漣くんが「怪しい」と思っていた男の人の情報が載っていた、その下には同じ苗字の女の人の情報が載っていた…漣くんは、その部分を人差し指と親指で広げ拡大する。



「僕の考えが正しいのならば、きっと初音の意見も合わせて合ってる……。」


「えっ……でも、苗字が同じでも別におかしくないから……まだ分からないんじゃない...?」


「じゃあ1度この件は置いて考えてみて...まず、市国民表の最終更新日を見て?」



そう言われて私は漣くんのゴシックの画面に触れて最終更新日が見えなかった場所まで拡大されていた画面を今度は縮小させて最終更新日を確認する、最終更新日を見た私はびっくりした……なんと、最終更新日はつい最近と言うか、昨日になっていた、つまりこの男の人と女の人の情報は最近載せられたものだと分かる……私の表情を見た漣くんは、話を続ける。



「そう、最終更新日は、昨日、そしてこの2人だけが最新情報者となると初音が言った通り、人探しだった線も全然考えられる……」





















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