【詞解説】fluukn nagiについて

 テーマとか決めても自分のことだから確実に忘れるなーと考え、「ならストーリー全体を象徴するような曲を作ればいいんじゃね?」と思い付いたのがきっかけでした。

 ようするに楽曲を物語の指針にしてしまおうという考えですね。


 とはいえ、残念ながら作曲はできないのでとりあえず詞だけ作ってみました。全体テーマ曲のつもりだったのに序章テーマ曲になってたり、主人公について歌う詞になっていたりとちょっとしたハプニングもありましたが結構楽しかったので良しとします。それに「どんな展開ならより面白くなるのか」を以前より考えやすくなっている気もしますし。結果オーライということで。


 前置きが長くなったのでそろそろ詞の解説に入っていきます。といっても、内容にはあまり触れずにいきますのでその点、よろしくお願いします。


 全体を総括すると、前向いて迷いなく突き進もつ、という感じの明るい曲のイメージですね。はじめの方は暗めですが。

 この詞とリンクするように主人公の感情の変化や展開を描けたら、と思います。

 以下、細々としたところを適当に解説。


 曲名、fluukn nagiについて。

 早速出ました異世界語。この詞にはちょくちょく作中に登場する異世界の言葉やフレーズが登場します。

 意味は「前進のうた」。

 fluuknが「詩」で、nagiが「前進(の)」という意味です。


 続いて、詞について。

 一応、意味は添えて書いてあるので問題はないかと思いますが、肝心の発音は独自記法込み込みなせいでわかりにくいかと思いますのでこの辺、説明していこうかと思います。

 半端な知識で言ってる部分も多々あるとは思いますがその際はご指摘等、よろしくお願いします。


 sch……「シュ」、「English」のshの発音。

 ts……「ツァ」行の発音。

  tsa ツァ

  tsi ツィ

  tsu ツ

  tse ツェ

  tso ツォ

 : ……長音を表す。発音記号の ː をイメージ。

  a: あー

  fa: ふぁー

  e: えー

  ※同じ母音を2つ重ねた場合も同様に伸ばして発音する。

  uu うー

 q……促音(「っ」のこと)を表す記号として使用。

 ʰ……有気音を表す記号として使用。環境によっては見えないかもしれないのが不安。見えない場合はhに差し替えます。(有気音についてはググって下さい)


 ざっくりと、こんなところでしょうか。以下、異世界語部分に片仮名でルビを振った歌詞です。


flu:luフルール flu:luフルール

schlu:da:saシュルーダーサ intenインテン fa:pʰanteファーパンテ

pne:lakosプネーラコス pne:leプネーレ

to:kamelensトーカメレンス ju:biユービ fa:pʰamtファーパント

たましいの叫びを

lummiルンミ foqtseフォッツェ

望みし道のりを

dolsiドルシ foksonフォクソン

願いまでの距離を零(ゼロ)にするまで――


(省略)


tʰa:nolターノル tʰa:nolターノル

もどさない

掴んだ現実(いま)を

抱きしめて

kno:tosクノートス kno:tosクノートス

光り差す方へ

描いた願望(あす)を

ためらわず

進むため――!


tʰa, schlu:densシュルーデンス nagiafナギアフ!


 文法や単語の意味については自分の中でまだ固まりきっていない部分が多いので暫定的にしか説明できませんが、一応、以下のような感じに考えています。


 言語の文法的イメージとしてはフィンランド語のように格変化の種類が豊富で基本的にはSOV語順の膠着語。

 flu:lu、これは曲名にあるfluuknの動詞形の命令形ですね。この言語の特徴として、一部の動詞の命令形は一単語に登場する母音の種類は必ず一種類というものがあります。ようするに母音を揃えるということですね。

 これについてはkno:tosやpne:leも同様です。


 次に、schlu:da:sa inten fa:pʰante(未来に望む祈りを)について。

 schlu:da:saが「未来に」

 intenが恐らくは「望む」

 fa:pʰanteが「祈りを」

……といった感じでしょうか。intenが動詞としては短めな気もしますがまあ問題ないでしょう。

 schlu:da:saの語幹はschlu:dで、a:saは格助詞でしょう。多分。

 fa:pʰanteはfa:pʰan「祈り」に格助詞teがくっついた形だと推測。


 続いてpne:lakos pne:le(感情を思え)。

 語幹pne:l+格助詞akosでpne:lakos「感情を」。pne:leは先ほど書いたとおり、動詞の命令形です。

 ちなみにこのpne:le、「思え」と訳してはいますが、「感情」という意味の名詞と設定上同一の語幹を有していますので込められたニュアンスが日本語の「思う」とは若干異なるものになっています。より正確には、「しみじみと思う」や「慈しむ」などの語のほうが訳語としてふさわしいのでは、とも考えていますが、「感情を思え」というフレーズのかっこよさを優先した結果、「思う」という語を用いました。


 ちなみに、ここまでで「〜を」を示す格助詞が2つも出てきましたが、これについては「名刺の種類が違う」か「動詞の種類が違う」か、どちらの理由付けを採用するかで迷っています。


 to:kamelens ju:bi fa:pʰamt(朝焼けの光抱いて)については、

 to:kamelens……「光を」

 ju:bi……「朝焼けの」

 fa:pʰamt……「抱いて」

 といった感じでしょうか。「祈る」と「抱く」の語幹が一緒なのは、「心に抱くもの」という意味で「抱く」から「祈る」という語が派生した、と理由付けしてみると丁度良く収まる気がします。

 しかし「光を」がなにやらやけにごつい感じになっていますね。格助詞のせいにしますか。

 to:kam+elensと分解しておけば、「光」を表す部分はto:kamだけで済みますのでこれで一見落着。「〜を」を表す格助詞がまた増えましたが気にしてはいけません。格助詞は増えるものです。


 lummi foqtse(果てしなく)

 dolsi fokson(迷いなく)

 ここは一気に行きます。

 foから始まる2つの語はそれぞれ直前の語を否定して副詞句を作ります。

 つまりlummiは「有限」という意味で、dolsiは「迷い」という意味ですね。

 なぜfoqtse、foksonと形が違うのかと言いますと、それは「なにが」有限で「なにが」迷うのか、ということの違いに由来します。面倒ですがそういうことにすると中々イカす感じになる気がします。

 詞の中で、「果てしない」がかかるとすればそれは「望みし道のり」であり、「迷いない」がかかるとすればそれは動作主であり――ここでは仮に「私」とおきます――つまりは三人称と一人称の違いに換言できます。

 「A(属性や動作)がBに属す」という表現を用いてまとめると、

 Aが一人称に属す:fokson

 Aが三人称に属す:foqtse

……といった感じでしょうか。二人称版も当然存在するものと思われますが、歌詞に出てこないのでカットで。単複の区別についてはない方向で行こうかと思います。面倒なので。

 ちなみにこれらの語を用いて作った副詞句は強調のニュアンスを帯びるという設定があります。こういうのは自然言語でも割とよくあることですね。


 tʰa:nol(絶対に)。これは普通の副詞ですね。


 kno:tos(考えろ)

 先ほど出てきました「命令形の時に母音を統一させる動詞」の一種ですね。名詞形の「思考」についてはkno:tiあたりが良さそうだと思っています。偶然にも、iの音で終わる名詞が多い印象なので。


 tʰa, schlu:dens nagiaf !(さあ、未来へゆこう!)

 さて、いよいよ最後です。

 tʰa……「さあ」とか「よお」とかの意味の呼びかける語。

 schlu:dens……「未来へ」。

 nagiaf……「ゆこう」。名詞形はnagi「前進」。前向きなニュアンスが強く出る語です。

 ちなみにこのnagiafは命令形の一種ですが命令形よりも柔らかいニュアンスを帯びた形でして、英語で言うならlet's go aheadといったところでしょうか。


 そんな感じで、解説を終わりにします。

 詞解説というより異世界語解説という感じになってしまいましたが、いかがでしたでしょうか。

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樹形世界の本編外のあれそれ 砂塔ろうか @musmusbi

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