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2019年6月2日 18:25
前話に引き続き、自主企画を意識して、細かく感想を書き込みます。まず前半部。設定の作り込みは凄い、と思いました。どちらかといえば私も設定大好きで「せっかくの設定は機会を作って披露したい」というタイプなので、ここは『見習いたい点』というより『共感できる点』という感じです。そんなことを思いながら読んでいくと、高槻、タクミと登場キャラが増えてきて……。ここで少し「ん?」と思う部分がありました。それまで基本的に主人公視点で描かれていたエピソードが、> タクミは一礼して社長室を後にする。本当は紅人に仕事を断って欲しかったのだが、それは無理なようだ。だったら気持ちを切り替えて前向きに行くしかないとタクミは思った。この辺で、明らかに『タクミ視点』に変わるんですよね。『紅人に仕事を断って欲しかったのだが、それは無理なようだ』という文に主語はありませんが、タクミの気持ちでしょうし。その直後の文には、はっきりと『とタクミは思った』と書かれていますし。突然視点が変わって少し気になる読者も出てきそうですが、この程度は、まだ許容範囲と私は感じます。「ここから部分的にタクミ視点になったのだな」と理解して読み進めたところで、問題は、その次の段落。> どうやら官邸で思い浮かべた最悪のビジョンが現実になりそうな予感がしてきた。「誰が思い浮かべたのか、誰がそういう予感を感じたのか」の省略された一文。いくら段落を変えてあるとはいえ、直前が『とタクミは思った』だっただけに、私は最初、これタクミの心情だと思ってしまいました。それから「いやタクミは官邸に行ってないよな? そこで『最悪のビジョン』を思い浮かべたのは、主人公だったよな?」と思って、わざわざ前話を確認することになりました。こうやって視点が切り替わったところで、主語(主体)を省略されると、さすがに混乱します。作者の頭の中では「基本は主人公の視点・心情説明だから」というのがあって省略可能なのでしょうが、一瞬混乱する読者は私だけではないだろう、と思いました。作者としては「その程度のことは言わなくても(省いても)わかるだろう」ということでも、案外わからない(少なくとも、瞬間的にはわからない)のが読者というものだと思います。続いて後半部。まずは乾あかり。「また新しいキャラが出てきたな、女性の名前っぽいから、ヒロインの一人なのかな」と思いましたが……。でも彼女に関しては『説明』だけで『描写』は一切ない(成績上位という抽象的なエピソードだけで、具体的なエピソードはない)ので、特に印象には残りませんでした(これが作者の意図通りならば良いのですが、もしも「ここで名前を出した事くらいは覚えておいてほしい」というのであれば、もう少し具体的な記述が必要かと思います)。私は、彼女よりもむしろ自動調理装置の方が印象に残りました。一つだけれど台詞もあったし、少しですが『無愛想な声で』というイメージを喚起させる記述もあったし。そんなことを思いながら読んでいたら、続いて場面は高校へ。「ああ、このために『乾あかり』の説明をしたのか。ちゃんと同じエピソード内で出てくるのだな」と思ったら、彼女は登場せず、代わりに担任、保健の先生と出てきて……。保健の先生は、印象に残りました。主人公とがっつり関わる場面が描かれ、彼女視点の心情表現までありましたから。裏の顔もある需要キャラっぽいので、これは良い点だと思いました。
前話に引き続き、自主企画を意識して、細かく感想を書き込みます。
まず前半部。
設定の作り込みは凄い、と思いました。どちらかといえば私も設定大好きで「せっかくの設定は機会を作って披露したい」というタイプなので、ここは『見習いたい点』というより『共感できる点』という感じです。
そんなことを思いながら読んでいくと、高槻、タクミと登場キャラが増えてきて……。
ここで少し「ん?」と思う部分がありました。
それまで基本的に主人公視点で描かれていたエピソードが、
> タクミは一礼して社長室を後にする。本当は紅人に仕事を断って欲しかったのだが、それは無理なようだ。だったら気持ちを切り替えて前向きに行くしかないとタクミは思った。
この辺で、明らかに『タクミ視点』に変わるんですよね。『紅人に仕事を断って欲しかったのだが、それは無理なようだ』という文に主語はありませんが、タクミの気持ちでしょうし。その直後の文には、はっきりと『とタクミは思った』と書かれていますし。
突然視点が変わって少し気になる読者も出てきそうですが、この程度は、まだ許容範囲と私は感じます。「ここから部分的にタクミ視点になったのだな」と理解して読み進めたところで、問題は、その次の段落。
> どうやら官邸で思い浮かべた最悪のビジョンが現実になりそうな予感がしてきた。
「誰が思い浮かべたのか、誰がそういう予感を感じたのか」の省略された一文。いくら段落を変えてあるとはいえ、直前が『とタクミは思った』だっただけに、私は最初、これタクミの心情だと思ってしまいました。それから「いやタクミは官邸に行ってないよな? そこで『最悪のビジョン』を思い浮かべたのは、主人公だったよな?」と思って、わざわざ前話を確認することになりました。
こうやって視点が切り替わったところで、主語(主体)を省略されると、さすがに混乱します。作者の頭の中では「基本は主人公の視点・心情説明だから」というのがあって省略可能なのでしょうが、一瞬混乱する読者は私だけではないだろう、と思いました。作者としては「その程度のことは言わなくても(省いても)わかるだろう」ということでも、案外わからない(少なくとも、瞬間的にはわからない)のが読者というものだと思います。
続いて後半部。
まずは乾あかり。「また新しいキャラが出てきたな、女性の名前っぽいから、ヒロインの一人なのかな」と思いましたが……。でも彼女に関しては『説明』だけで『描写』は一切ない(成績上位という抽象的なエピソードだけで、具体的なエピソードはない)ので、特に印象には残りませんでした(これが作者の意図通りならば良いのですが、もしも「ここで名前を出した事くらいは覚えておいてほしい」というのであれば、もう少し具体的な記述が必要かと思います)。私は、彼女よりもむしろ自動調理装置の方が印象に残りました。一つだけれど台詞もあったし、少しですが『無愛想な声で』というイメージを喚起させる記述もあったし。
そんなことを思いながら読んでいたら、続いて場面は高校へ。「ああ、このために『乾あかり』の説明をしたのか。ちゃんと同じエピソード内で出てくるのだな」と思ったら、彼女は登場せず、代わりに担任、保健の先生と出てきて……。
保健の先生は、印象に残りました。主人公とがっつり関わる場面が描かれ、彼女視点の心情表現までありましたから。裏の顔もある需要キャラっぽいので、これは良い点だと思いました。