第58話 この感情の果て


 1




 ──最初は、小さな果物ナイフからだった。



『マルク、お願い、やめて……!!』



 セシリアの白い肌に浅く刃を当て、悲鳴を上げようとする口に布や指を突っ込んで声を奪う。斬った傷口から滴る真っ赤な血を小瓶に垂らし、ぼろぼろと泣く彼女の涙を『ごめん、ごめんな』と繰り返しながら舐め取った。


 痛い、痛い、と泣くセシリアを見るのは、マルクも最初は心苦しかった。しかしそんな“日課”を繰り返すうちに、いつしか彼女の血や涙が、酷く甘美な誘惑を放つようになって。


 小さなナイフで浅く切るだけだった傷は、徐々に深く抉るようになり、流す血の量も明らかに多くなって行った。セシリアの体から流れる血を、涙を。得体の知れないこの渇きを潤おそうと欲して、求めてしまう。それ故マルクは当初の目的も忘れ、セシリアの体を余計に傷付けるようになった。舐め取った血を喉に流すと、渇いた何かが潤って満たされる気がした。



 ──もっと、血を。彼女の血が欲しい。



 その渇きはまるで、一種の“依存症状”のようだった。




 2




「──結局、手を付けなかったのですね。食事には」



 ベッドの上に力無く倒れるトキのすぐ傍で、再び医療室へと戻ってきたハンナが一口も手を付けられていないパンとスープの乗ったトレイを見つめながら呟く。トキは何も答えず、ただ黙ってベッドの上に横たわっていた。



「無理強いは致しませんが、少しは召し上がった方がよろしいのではありませんか? ここへ来てから何も召し上がっておられないでしょう?」


「……」


「アデルも心配しているみたいですよ」



 相変わらず機械のように単調にハンナが言葉を紡ぐ中、ぺたぺたと爪を打ち鳴らしたアデルが医療室に戻って来たらしく「クゥン……」と子犬のような鳴き声をこぼしてトキが倒れているベッドの上に顎を乗せた。その声にようやくトキは反応し、「クゥン、クゥン」と声を漏らす獣へと徐ろに手を伸ばす。


 もふ、と手触りのいい白銀の毛並みに指を滑らせ、トキはやんわりとアデルの頭を撫でた。ベッドの枕に顔を押し付けたままの彼の頬を、ぺろぺろとアデルが慰めるかのように舐め始める。

 その様子を黙って見つめ、ハンナは口を開いた。



「……随分とアデルに懐かれているのですね。少し驚きました」



 驚いた、とは言いつつも、やはり彼女の表情筋はぴくりとも動かない。ハンナは医療室の窓を開けながら、黙ったままのトキに構わず続ける。



「先日、意識のない貴方をアデルの上に乗せてセシリア様が連れて来た時は、世間を知らないセシリア様が悪い賊にたぶらかされているものだとばかり思っていましたが……」


「……」


「……アデルがここまで心を許しているということは、悪人ではないのでしょう? 貴方は」



 コツコツと靴の踵を響かせて、静かにハンナは問い掛ける。トキはやはり答えず、うつ伏せに倒れたままアデルの頬を撫でていた。



「貴方の意識が無い間も、アデルはそうやって貴方に寄り添っていたんですよ。それは貴方の心が清いという証ではないですか? ジーン様は貴方の事を良く思っておられないようですが、わたくしには分かります」


「……」


「彼の非礼、私からもお詫び申し上げますわ。しかし、ジーン様の事はどうか責めないで頂きたいのです。彼は人一倍忠誠心に満ちているが故に、この地に忍び寄ろうとする悪を警戒しているだけで……。この地はセシル様に守られているとはいえ、いつ近隣の街のように〈魔女の遺品グラン・マグリア〉を狙う不届き者に侵攻されてしまうか分かりませんから……」


「……〈魔女の遺品グラン・マグリア〉?」



 ふと、ハンナの言葉を遮るようにトキはかたくなに閉じていた口を開いた。ハンナはやはり無表情のまま、「ええ」と短く答える。


 丁度そのタイミングで、教会内には大きな鐘の音がゴーン、ゴーン、と響き渡った。



「……この鐘の音。これが一番目の魔女、セシル様の〈魔女の遺品グラン・マグリア〉です。セシル様の鐘の音が、この村……セシルグレイスを守っている」


「……」


「この近辺は大昔から災害の多い場所なのですよ。大嵐や地震、大きな津波。それらを鎮めるため、遥か昔に〈一番目アインス〉のセシル様は自らの命を断ち、遺品として姿を変え、その強大な魔力でこの土地だけでなく……この大陸全土の民の命を守ったと言われています」



 ハンナは一番目の魔女・セシルについて語りながら、輪切りの檸檬が漬け込まれている瓶の蓋を開ける。その中の数枚を小皿に取り分け、彼女は更に続けた。



「……でも、五年前の……セシリア様がこの地に流れ着いたあの日は、珍しく海が荒れていた日でしたね……」


「……流れ着いた?」


「ええ。彼女はどこからか海に流されて来たようで、この教会のすぐ傍の浜辺に打ち上げられていたのです。……あの頃のセシリア様は、本当にお労しいお姿でした。痩せ細って衰弱し、髪もほとんど抜け落ちて、言葉も話せなかった……。生きているのが奇跡だと思いましたわ」



 これまでぴくりとも動かなかったハンナの表情が、そうこぼした一瞬だけ僅かに曇る。しかしすぐにまた表情を無くし、彼女は瓶の蓋を閉めた。



「彼女はきっと、この地の魔女であるセシル様と……大地の女神・ヴィオラ様のご加護によってその身を守られたのでしょう。ですからシスター・ドロシーは、セシル様の名前を頂いて、彼女に“セシリア”と名付けられたのです」


「……」


「その名の通り、彼女は優しく美しい女性に育ちました。……このまま普通の女性として、彼女が大人になって行ってくれたらと……もう何度願ったか……」



 ハンナはどこか遠くを見つめて小声で呟き、やがて小さくかぶりを振る。「いえ、こんな事貴方に話しても仕方ありませんね」と無表情にこぼした彼女は、小皿に乗せた輪切りの檸檬を傍にあるテーブルの上にことんと置いた。



「檸檬の蜂蜜漬けです。その程度でしたらお食事も喉を通りますか?」


「……さあな」


「少しは召し上がられないと、お体に障りますよ。セシリア様も、きっとご心配なさるでしょう?」


「……」



 トキはハンナの言葉に一瞬目を伏せ、ようやくうつ伏せに倒れていた体を起こした。そのまま檸檬の乗った小皿を手に取り、小さなフォークにそれを突き刺して口元へと運ぶ。


 そんな彼の脳裏を駆けたのは、先程聞いてしまったセシリアの言葉だった。



「……別にあいつは、俺がどうなろうが本気で心配なんかしねーよ」



 ぼそりと告げれば、ハンナは無表情のまま振り向く。トキは虚空を見つめ、蜂蜜漬けの味もよく分からないままそれを咀嚼し、喉の奥に押し込んだ。



「……俺の事なんて、何とも思ってないらしいからな」



 ──私は、トキさんに対して、何の感情も持っていません──そう告げた彼女の声を思い出し、トキはその場に俯く。アデルが悲しげに耳を下げたのがふと視界に入ったのか、不器用な片手がその頭を軽く撫でた。


 ハンナは彼の言葉を黙って聞き入れ、やがて「そうでしょうね」と淡白に答える。



「……セシリア様は神官というご身分ですし、そういうですから。誰かを思いやることはあっても、一人の男性を愛することはしませんよ」


「……はっ、また“人を愛せない”って話か」


「“愛せない”というのは、少し語弊があるかもしれません。彼女は“愛せない”のではなく、“愛さない”のです。ご自分と貴方を守るためにもね」


「……守る?」


「ええ。だって──」



 ハンナはトキが手をつけなかった食事のトレイを手に取り、そっと踵を返す。相変わらず機械のように淡々と、彼女は口を開きながら医療室の扉を開けた。



「──絶対に実らない恋など、するだけ時間の無駄でしょう? のめり込む程、お互い傷付くだけですもの」



 抑揚のない声がそれだけ紡ぎ、彼女は医療室を出て行く。ぱたん、と扉が閉められた後、トキは黙り込み、沈黙の満ちる室内で彼女の出て行った扉を見つめていた。



「……」



 ──絶対に実らない恋など、するだけ時間の無駄でしょう?


 今しがた放たれた言葉が耳に残って、彼は俯く。そんな言葉を、いつか自分も吐いた覚えがあった。



『──人を好きになって何になる? どうせいずれは感情が薄れて裏切られるんだ。恋だの愛だの、のめり込むだけ無駄なんだよ』



 花の街、アリアドニア。そこで出会った少年──リモネに、トキはそんな言葉を冷たく吐きこぼしたのだ。


 あの時の彼の言葉に、リモネは──何と答えたんだったか。



『──無駄じゃない。例え裏切られても』



 霞んでいた記憶の中。

 まだ幼さの残る真っ直ぐな少年の声が、はっきりと脳裏に蘇る。



『別に俺は、この気持ちが届かなくてもいいんだ。だから、いつか裏切られてもいい』


『……お前、何言ってるんだ? いくら恋い焦がれたところで、最後に自分のものにならないんだったら無駄だろ』


『違う、伝わればいいんだ。ずっと好きだったんだよって、相手の心に残ってくれれば俺はそれでいい』



 もっともらしい事を告げるリモネとのやり取りの記憶に、ハッ、と乾いた笑いが漏れてしまった。記憶の中のリモネは焦げ茶色の丸い瞳をまっすぐとトキに向け、更に続ける。



『兄ちゃんは、逃げてるだけじゃないのか?』


『人を好きになるだけ無駄だって、信じたって裏切られるって、自分に言い聞かせて……自分の気持ちに向き合ってないだけなんじゃないのか』


『兄ちゃんは──』



 ──人に裏切られるのが、怖いのか?



「……うるせえ……」



 トキはぼそりと声を漏らし、自身の前髪をくしゃりと握り締めてその場に俯く。彼は黙って己の膝を見つめたまま、アリアドニアから出る際にリモネから手渡された指輪の事を思い出していた。


 小さな花弁を広げるアズリ、プシュカが散らばる中に、一際大きく花弁を広げた薄紫色の花。──“信じる心”の花言葉を持つ、それが咲いた不恰好な花の指輪を。


 ──十二年前、アルマに崖から突き落とされたあの時に、「大っ嫌いだ」と告げて永訣を誓った──あの感情を。



「……なあ、犬」



 ふと呼びかければ、アデルは静かに顔を上げた。その柔らかい毛並みにそっと指を通して、トキは続ける。



「……俺は、お前の主人のことを……」


「……」


「信じても、いいと思うか……?」



 どこか怯えるような、低い掠れ声が問いかける。アデルは金の瞳でまっすぐと彼を見つめたまま、かくん、と不思議そうに首を傾げた。能天気なその様子に、自分は魔物相手に一体何を口走っているのかと、つい渇いた笑みがこぼれ出てしまう。



「……いや。何でもない」


「アゥ?」


「……自分で確かめる」



 トキはフッと笑みをこぼし、徐ろにその場から立ち上がった。そのまま不思議そうに首を傾げているアデルに背を向け、彼は医療室の扉を開ける。



「また後でな、犬」



 そう言い残して部屋を出たトキの背を見送ったアデルは、相変わらずきょとんと金の瞳を丸めるばかり。しかしやがて大きな欠伸をこぼしたかと思えば、彼はトキの帰りを待つべく丸くなって、すやすやとその場で眠り始めた。




 3




 さらさらと穏やかな夜風に吹かれ、金の髪がふわりと揺れる。遠くに聞こえるさざ波の音に耳を傾けながら、セシリアは薄暗い修道院の通路の脇に座り込み、静かな中庭を眺めていた。



「……」



 どこか遠くに視線を向けたまま、セシリアは今朝方マルクに斬られた腕の箇所を押さえる。痛みはとっくに消えているが、まだその傷跡はうっすらとそこに残ってしまっていた。


 トキの残した胸元の華は、こんなにも薄れてしまったというのに。



(トキさんの痕が、もう消えちゃう……)



 膝を抱え、顔を埋める。誰かの残した痕跡が容易く消えてしまうこの体が歯痒いと、初めて思った。消えて欲しい傷はいつまでも残っているのに、欲しい温もりは奪い去ってしまうなんて、あんまりだと。


 けれど、一番は。



『──……私は、トキさんに対して……何の感情も、持っていません……』



 あんな言葉を吐いてしまった自分が、一番歯痒い。



(大嘘つき……)



 何の感情も持っていないなんて、そんなはずないのに。けれど彼に特別な感情を抱いてはいけない、何も間違ってない、と囁く自分も心の中に居るのは確かで、セシリアはきゅっと唇を噛んだ。


 さらりと吹いた夜風が、俯く彼女の頭を慰めるように撫ぜて通り過ぎて行く。


 セシリアが文字が読めるようになったのは、まだほんの数年前だ。その頃セシリアはとにかくおとぎ話が好きで、書庫に並べられた童話を手に取っては夢中で読み耽った。

 本の中で語られる“恋愛”や“結婚”は美しく描かれたものばかりで、きっと大好きな人の花嫁になる女の人は、世界で一番幸せなのだろうと思っていた。


 いつか自分にも、素敵な王子様が現れるのだと。



(……素敵な、王子、さま……)



 数年前に思いを馳せた“王子様”の理想像を心に描いてふと、いつも不機嫌そうに眉根を寄せている顰めっ面が脳裏に浮かぶ。セシリアは切なげに微笑み、顔を上げて暗い夜空を見上げた。



(きっと、柄じゃない、って怒るんだろうなぁ……)



 私の王子様は、貴方がいい──なんて言ったら。


 そんな事を考えてしまってやんわりと瞳を細めた頃、不意に背後から誰かの気配を感じた。



「……セシリア」


「──!」



 は、と目を見張って即座に振り返る。すると今しがた脳裏に思い描いていた彼が、心做しか暗い表情でセシリアの元へと歩み寄って来ているところだった。ゆっくりと近寄るトキに、セシリアの心の中でちくりと僅かな痛みが生じる。



「と、トキさん。どうしたんですか?」



 慌てて笑顔を取り繕うが、やはりトキの表情は晴れない。彼は何も言わずセシリアの元へ辿り着くと、そのまま黙って彼女の隣に腰を下ろした。



「……トキさん?」


「……なあ」



 トキはぼそりと声を紡ぎ、突如セシリアの肩に寄りかかる。唐突な彼の行動に「え!?」とセシリアが驚いた声を上げるが、お構いなしに彼は彼女へと体重を預けた。



「ちょ、ちょっと、あの、トキさん……!」


「……クスリ……」


「……え?」


「クスリ、くれよ……」



 力無くこぼれ落ちるトキの声が耳に届き、セシリアは一瞬息を飲んだ。困惑気味に視線を泳がせた後、彼女はおずおずと口を開く。



「ま、待ってください! 今日の口付けはもう済ませましたよね……? しかも結構長く……」


「いいから寄越せ、今すぐ」


「で、でも……」


「苦しいんだよ」



 ぼそりと力無く、しかしながら鮮明に紡がれたのはそんな言葉だった。思わず声を詰まらせたセシリアの肩に寄り掛かったトキは、夜風にさらされて冷たくなった彼女の手を握る。



「……ずっと、胸が苦しい。アンタの事考えると」


「……!」


「でも、アンタの事考えると苦しいのに……アンタが居ないと、落ち着かない」



 握った手のひらに力を込め、トキはセシリアの細い指の間に自らの指を絡めた。古傷の目立つ骨張った手が、壊れ物を扱うように優しく彼女の白い手のひらを包み込む。トキはこぼれ落ちそうなほど潤む彼女の翡翠の瞳を見上げると、空いた手をそっと彼女の頬に滑らせた。



「それ、は……」



 セシリアもまた潤んだ瞳で彼を見つめ、震えそうになる声を紡ぐ。



「……私も、一緒……です……」


「……」


「トキさんを思うと、苦しい……ずっと……」


「……俺の事は“何とも思ってない”のに?」


「……!!」



 彼の発言にセシリアはびくっと肩を震わせた。数時間前に発した言葉が蘇り、胸の奥がサッと冷たくなる。



「き、聞いてたん、ですか……?」


「……ああ」



 トキは目を伏せ、低い声で答える。一方のセシリアは絶望した様子で再び視線を泳がせ、何も言えずに表情を歪めるばかりだった。

 しかし彼は俯きかけた彼女の顎を捕まえると強引に上向うわむかせ、自身の唇をぐっと近付ける。



「……っ、と、トキさ……!」


「……でも、俺はそんなもん信じない」


「……!」


「他人と会話してるアンタの、他人に向けられた言葉なんか……何で俺が信じなきゃいけないんだ」



 ぱち、とセシリアは瞳を丸めて瞬いた。どういう事だろう、と困惑している彼女を無視して、トキは更に続ける。



「俺は、俺の知らない奴に向けられたアンタの言葉なんかどうでもいいし、俺の知らないアンタの事情だって俺には関係ない。アンタの運命がどうだの、そんなもんも知ったこっちゃない」


「……」


「俺は誰の命令も受けない。全部俺の意思で、俺の信じるものを決める」



 薄紫の瞳が真っ直ぐとセシリアを射抜く。その視線に貫かれ、彼女は言いかけた言葉を飲み込んだ。宝石のように美しい、どこか寂しそうな優しい彼の瞳から、目が離せない。



「……俺が信じるのは、」


「……」


「──俺が今までこの目で見てきた、俺の知ってる、アンタだけだ」



 そう紡がれた言葉を最後に、トキはセシリアの唇を塞いだ。彼女が逃げないよう片手で頬を掴み、指先で耳の後ろをなぞりながら舌をねじ込む。小さく漏れた声すらもトキの舌が拾い上げて、真後ろの壁にセシリアを押し付けながら角度を変えて何度もその熱を奪い取った。



「ふ……っぅ……」



 静かに溶ける吐息を攫って、目尻に浮かぶ彼女の涙を指で拭う。長い睫毛が震えていて、また泣きそうなのかと彼は笑った。



「……いつからそんな泣き虫になった? 俺の知ってるアンタは、もっと我慢強かったはずだが」


「……っ、トキさんの、せいです……」


「ばーか、人のせいにすんなよ」



 くすりと口角を上げ、トキは泣き出しそうな彼女に再び唇を重ねる。優しく触れ合うだけで、あれほど息苦しさを感じていた胸の奥に暖かな光が満ちていくような気がした。


 おずおずとトキの手を握るセシリアの手を強く握り返して、甘いとさえ錯覚してしまう彼女との口付けを味わう。


 ああ、いっそこのまま、ずっと終わらなければいい。この感情が“依存”でも、“本心”でも、ただの“勘違い”でもいいから。



(……俺は……)



 ──セシリアを“信じたい”と思える自分の心を、このまま信じていたいんだ。


 この感情の行き着く果てが、例えどこであっても。




 .

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