#詩コン 『金』

アクリルで描かれた透明な宮殿の頭上を通過する光

淀みない夜を映す硝子の天馬は奏楽を生らしてゆく


宙に酔ってぴかっとひかる、ちりほこりはかるいもの

靡いた方向に生きてゆくのか、翳を焦らして価値を用いた

能面無き者は姿を偽ってぎこちない笑顔でわらう


素はいきているのか 祖はしんでいるのか


強い力で侵食される旋盤は摩耗して

幾度も異音を放ち飛んでしまう夜

無垢な豎子じゅしだけが擁いている心

親指に描かれたにこにこの顔は相違点を築いて閉めた


個個は総てに因果である

蛍の様に朧げで在りちらちら揺らぐ発光に

むしけらであっても見出される薄幸の価値

我儘に拝しているこころ輝くことに疑問を呈し

唯一ただはじめ胸に入りてこそ


鬱蒼とした竹藪に何の希望も持たず

行先には輝夜姫は生まれない

底冷えする冬に青白い満月が

雫を作り出す矢張り塵芥はらはらと


生も死もきせきは巡りくる

輝きを持って白亜の宮殿に暁光は反射する

嗚呼 烏滸おこの沙汰

余波なごり

情け無い容赦鳴き聲に猛き囀る羽搏き

一入ひとしお

もたざるものにいただくこと

黄金の細波が朝露に反射して

濡羽色に逆光は翳を尾としても

行先すら判らずに輝いて 魅せた


#詩コン 『金』

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