#フォエム52 『まぼろし』

到底どうせ

連れ添って御隠れになるのでしたら

好いも麗しく 

華々しく風花に鳴り舞散り焚くもある」


飄々と生らす咽喉から幽かに排す聲は確かに。


まぼろし


総てを見通す水鏡にわっぱは雲隠れ

反転する余を配した

其の切っ先はもろくも崩れ去り消え失せた


珠雫は玲瓏な光明を飛散し

風車は廻り続け水脈を遷す

雲の上のちいさなおうち

朱い屋根は目も綾な2畳半


若かりしキミとボクはカナンに囚われている


燦燦さんさん融け朽ちて堕ち

滔々とうとう腐り積もり詰まる

潸々さんさん塵芥たびかさなり


たまゆらに魅せる

うなだれる あまたの星

うだる 奏多の焔は漂流する

うなされる うたかたに 


夜の帳は比熱を融かし夜陰を露出させる

あゝ

今生の終焉も

《於戯》

ひと夜限り花火

《嗚呼》

一夜の朧げな輪郭


絢爛華麗

あゝ崇高な風媒花よ

夏の夜の夢のごとし


#フォエム52 『まぼろし』

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