第56話【てんじょうはしたいと】



そこにうつるのは動かない

からみあうひかりとこうさい

われたカラスのくちゆく姿に

やたらとないてせいせいといたい


あいた朽ちは慕いと。

そそるかほり馨がするのです

山が或秘あるひも

しまって仕舞えばくらく苦楽


上りつめたいしずくは拓ひらいた華の

うるおいくくってしまえればかえらない


閉じる前に線を川に流して

緋は奔る空

新しい悦びに充た去れる殻


あたたかいでしょう

ながされるでしょう

つながれたのならば

ほつれて

つれだつのでしょうから

【天上の下糸】

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