美しい言葉で綴られる一人の少女の物語に魅入られて、すぐに読み終わってしまいました。その美しさから永遠にこの字面を追っていきたいと思ったせいなのか、物語自体を短く感じてしまいましたが、それも、無駄を極限まで排除した結果なのだと思います。少女がもう一人の自分を受け入れるまでの過程が細やかで、これからに対して希望が持てました。もう一人の彼女が少女の中で生き続けていることが最後のシーンでハミングする歌でわかってうれしくなりました。読ませていただき、ありがとうございました。
作者からの返信
素敵なご感想ありがとうございます! 描写にこだわって大切に書いた作品なので、気に入っていただけて本当に嬉しく思います。物語を通して、少しでも希望をお届けできていましたら幸いです。
『月』企画にご参加いただきありがとうございます。
神々の地での出来事を詠ったような美しく幻想的な物語がいったいどのように進んでいくのか、その謎が読み手を惹きつけるエッセンスになっていると感じました。
夜の少女が歌を忘れ、枯れ衰えた箱庭の無惨な風景が想像されると、次に昼の少女が現れて場面がパッと明るくなりました。
そういう陰陽のコントラストもまた作品に良い風味を与えていると思います。
ラストでこのお話が実際にあった心の葛藤であったことが分かり、それまでの情景を思い返して深く得心いたしました。
人の心はいつも昼と夜が入り混じり、その時々でどちらの顔が描出されるかはその人自身にもコントロールできないように思います。
しかし願わくば主人公の彼女からいつまでもハミングが失われず、確固たる自分自身を保って欲しい。
そう心から感じる秀作でした。
作者からの返信
こちらこそ素敵な企画をありがとうございます!
作品を深く読み込んでご感想いただけて、作家冥利に尽きます。私も彼女が自分自身を保ってほしいと思うと同時に、一度自らの全てを受け入れることができた彼女は、きっとこれからは自分の道を進んでいけるのだろう、と信じています。改めまして、読了とコメントありがとうございました。