最終話 本当にサヨナラ?

 何回かクリニックに通う俺。

 楽しいけど、なんか怖いのが面白かった。


 ヤンデレナースさんに会うたびに胸が苦しくなる。理由? 俺はヤンデレナースさんのことを好きになっていたから。


 これで十何回目だろう?

 ヤンデレナースさんは包丁片手に俺の気持ちなど知らずにいる。


 自宅で俺は泣いていた。

 叶わない恋なのだ。


 だから。

 だから……俺は。


 俺は治ったような気がして、今回の診察で最後にすることにした。

「こんにちは☆ あれ? 暗い顔だね☆」ヤンデレナースさんの笑顔が今の俺にはつらい。


 泣きそうだ。


「そんな暗い顔していると刺しちゃうぞ☆」


 もう、いいんだ。


「今までありがとうございました。ヤンデレナースさん、今までありがとう」そう言って俺はクリニックをあとにした。


 サヨナラ、ヤンデレナースさん。





 俺は通勤、会社に到着した。

 いつもの仕事、いつもの雑談、いつもの仲間。

 でも、そこにはヤンデレナースさんは居ない。

 これでよかったんだ。





 帰宅だ。

 もう夜の9時。

 帰宅途中は明日のことを考えた。


 そして、自宅の前に着いた。

 涙がじわっと出た。




 がさがさ!




 え?

 俺は物音の方を向いた。




 あ。


 ヤンデレナースさん?



 目が合い、お互いに何も言わない。

 でも、俺はヤンデレナースさんにニコッとしてあげる。


 ヤンデレナースさんも笑顔だ。



 お互いに何も言わずに、俺は自宅へ入り、玄関で嬉し涙をいつまでも流していた。



(ありがとうございました! 終わり☆)

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ヤンデレ☆クリニック 野口マッハ剛(ごう) @nogutigo

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