第12話 総評●

                〇●〇


 総評●占い。


「占ってみると、こんな感じですね」


 私は、よく当たると評判の占い師のお店に来ていた。

 師走も半分を過ぎ来年の目標等を考えた時、自分が何をしたいのかが解らなくなっていた。

 とりあえず今はアイドルが好き過ぎて、本来の自分がどのように確立していたのかすら解らなくなり、わらをもつかむ思いでこの店に来た。


 アイドルに会う為に作ったシナリオをメモして占い師に伝えた。

 占い師は私の考えたプランを一つ一つ占ってくれた。


「出版、音楽、アパレル、どの業界を目指しても良い人生ですよ。好きなものが側にあると幸せ、というよりも【好きなものを側に置く】という選択を貴方は本能的にしています。アイドルに近づくというよりが常に横にある人生、貴方はそんなシチュエーションがお望みなのではないですか?」


                 ○


 クリスマスから数日過ぎたある日、アイドルグループのスキャンダルが報じられた。

 深夜のデートに、お泊り、合コン報道だった。

 映画の共演がきっかけで、徐々に惹かれ合った二人は……等と報じられていた。

 幸い私の好きなアイドルじゃなかったけれど、国内トップクラスのアイドル事務所のスキャンダルが報じられた事に多少ショックを受けている。


 今後また、こんな報道はいつあっても不思議じゃないって事なんだよね。

 もし好きなアイドルのスキャンダルが出たら……私はそれでも彼(アイドル)を好きだろうか。

 大体、芸能人の相手は芸能人じゃないか。金銭感覚が似ているだろうし仕事の事を話せるし、何よりお互いスキャンダルに気をつけて行動出来るし。

 もし彼(アイドル)のスキャンダルが流れたとしたら、私はすぐに他のアイドルに行くか否か。それはまず、無い。

 数ある芸能人の中で彼に唯一ときめいたんだもん。


                 ○


 それにしても、本当に不思議な占い師だった。

 私は夢を見ていたのだろうか。出版業界とか音楽業界とか、実際に体験したような錯覚に陥っている。

 話だけで、こんなにリアルに感じさせるなんて。


 ときめきかぁ。確かに。アイドルに近づく為! って思っていても、その途中で出会ったときめきの方が勝ってしまう……か。

 私のアイドルへの想いって、そんなものなのかな……。

 そう思ったら少しショックだった。アイドルを好きな事に、一番情熱を注いでいると思っていたから。

 けれども、こんな落ち込み方をしていたってパワーをくれるのがアイドル。


 先日買ったアイドル雑誌を読み返してみる。

 私の推しメンの連載【きみと僕のじかん】には、私とアイドルが付き合っているかのような文章が並んでいる。

 この季節はこんな料理が食べたいだとか、クリスマスパーティのプレゼントの渡し方だとか。

 私の妄想でしかなかった事が、推しメン自ら語っているんだから。どういう心情でインタビューに答えているんだろう。

 やっぱり励みとパワーになる! アイドルの存在は!


                 ○


 けれども占いだし、どこまで当たるだろうかそれとも当たらないだろうか。

 実際にやってみよう。

 まずはA案から、とりあえず本屋へゴウ!

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アイドルに会いたい 青山えむ @seenaemu

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