第2章 おまけ~弟子とサクラ~

 四コマ風(?)会話文のみのおまけエピソードです。



『見える?』


弟子「サクラって、目隠ししてるけど、見えてるのか?」


サクラ「えぇ、もちろんです! そもそも桜に、目などありませんからね。外からの刺激を敏感に受け取って、周りの環境を察知しているのです」


弟子「へぇー。よくわかんないけど、すごいんだな!」


スノウ「目がなくていいなら、なんであんたは人の形をとってるのよ?」


サクラ「ふぇえ!? そ、それは……。確かにわたくしは桜たちの想いから生まれたアヤカシで、形など、なんでも良かったのですが……。べ、別に、一番身近にいたのが人で、動きやすそうだからこの形にしたなど、思っていませんからね!」


弟子「やっぱり、サクラって人のことが大好きなんだな!」


サクラ「そ、そのようなこと……思っていませんからねっ!」




『食べられる?』


サクラ「うぅ~ん! このパン、バターしみしみで美味しいです~!」


弟子「美味しいって言ってくれると、作ったかいがあってうれしいぜ?」


スノウ「あんた、アヤカシだけど、食事は必要なタイプなの?」


サクラ「まぁ、食べなくてもいけるのですけどね。わたくしは桜たちの想いで形作られているので、桜から常に妖力は与えられています。供給が途切れないかぎり、わたくしは存在できますよ」


弟子「サクラは食べなくても平気なのか。でも、美味しいご飯を食べられるのって、幸せだよな?」


サクラ「はい! 食事をするなんて、何十年振りでしょうか。毎日食べたいくらいです!」


弟子「オレの料理で良ければ、いつでも……」


スノウ「弟子っ! あんた、食べなくてもいいヤツにタダ飯を食べさせる気!? 食費が増えちゃうでしょ! もうこんなアヤカシにエサなんて与えちゃダメよ!」




『労働条件』


弟子「さっきサクラ、『供給が途切れないかぎり、存在できる』って言ってたけど、桜から力がもらえないってことがあるのか?」


サクラ「まぁ、ありえますね。たとえば、桜がすべてなくなってしまったら、わたくしの存在も消えてしまいます。あと、桜たちがわたくしに見切りをつけてしまえば、妖力も与えられなくなります」


弟子「見切りって……」


サクラ「契約違反みたいなものですかね。わたくしは桜を守ることが使命ですが、その使命を果たせなかった場合です。あんまりサボってばかりいると、愛想を尽かされるかもしれませんね」


弟子「そ、そんな!? じゃあ、ここにいるのもまずいんじゃないのか!?」


サクラ「そんな不安な顔をしないでくださいよ。大丈夫です。桜に異変があれば、すぐに行きますので。それ以外は、休んでいても構いません。最近は、ワークライフバランスも大切にされていますからね」


弟子「わーくらいふばらんす?」


サクラ「……あっ。そういえば、弟子って、お休みちゃんとありますか? 給料とか、もらっています?」


弟子「えっ……? 休みって、なんだ? きゅうりょう?」


サクラ「な、なんですか!? 住み込みで働かせて休みなしのうえに給料なしとは! どんだけブラックな職場なのですか!」


弟子「えぇっ? ブラック? サンタさんは、どちらかといえばレッドだぜ?」




『ぐちゃぐちゃ様の再来』


 ズズズーーー。


サクラ「なんですか、この音? 外からみたいですね」


弟子「もしかして……」


サクラ「弟子? どこへ行くのですか!?」


 ガチャ。


弟子「ぐちゃぐちゃ様!」


サクラ「ぎゃぁーっ!? な、なんですか、あの化け物!?」


弟子「化け物じゃないぜ? ぐちゃぐちゃ様だ」


サクラ「化け物ではないですか! 怨念や悪霊とも異なりますし、アヤカシとも違います。分類不明の得体の知れないモノですよ!?」


弟子「サクラの咲かせた桜の花びらが気に入ったから、食べに来たみたいだぜ?」


サクラ「話を聞いてます!? うわぁ……、ナメクジみたいに這い回っていますよ……!?」


弟子「落ちてる花びらを食べたら、体がピンク色になってるな。おーい、ぐちゃぐちゃ様ー! 朝食のパンを焼いたから、いっしょに食べようぜ?」


サクラ「ぎゃぁあああーーーっ!? あ、あんなヤツ呼ばないでくださいよ! うぎゃ!? こ、こっちに来ました!? イヤですーーーっ!?」




   《おしまい》




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

オレはサンタさんの弟子っ! 宮草はつか @miyakusa

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ