第7話話を聞いてみて
木村先輩の話が終わった。先輩は終始はしゃいで話の内容を覚えていなさそうなのでここでまとめておこうと思う。
「話をまとめますと、先輩は『新しくデザイン系の部活を作る』そして、『機材等に使うための部費が欲しい。』でよろしいですか?」
「はい、それで大丈夫です。」
「分かりました。では、こちらで申請及び他の仕事をしますので、明日また来てもらえるでしょうか?」
「分かりました。では、よろしくお願いします。失礼しました。」
木村先輩は部屋を出た。終始丁寧でいい印象だ。申請が通ればいいなと僕は思う。……その申請をするのが楓先輩である事だけが唯一の心配事だ。
「ということですので、楓先輩、申請などの仕事お願いしますね?」
「うん、任せて!」
心配だ。話を聞いていたかさえあやふやなのに申請の仕事など出来るのだろうか。そして何故、ここまで自信満々なのか、僕にはわからない。
「ということで、後輩くん、やり方教えて?」
「…………」
案の定ダメだった。期待していた訳では無いが、少しくらいは頑張って欲しかった。
……これ、僕がいなかったらどうなっていたのだろうか。考えるのが嫌になる。
マイナスな考えをするのをやめて仕事にかかろう。僕の仕事の内容は『楓先輩の教育』だ。
「では、まずは部費詳細書などの資料から申請書に必要な事を調べます。」
「その詳細書ってこれの事だよね?」
楓先輩はせっせと棚から詳細書を持ってきた。意外と仕事が早い。プラス1ポイント!
……ふざけるのはやめよう。
「はい、それです。そこの中に書いてある説明の通りに書いてもらえば大丈夫だと思います。書き終えたらそれを生徒会長に渡してください。ここまでが今回の仕事です。」
「わかったー。書いてみるねー。」
素直!プラス1ポイント!
……今度こそやめる。っとまぁ、お巫山戯は置いといて、今回は自分のすることはもうないだろう。あるとするならば楓先輩と暇つぶしにお話する程度だろうか。現に書くだけの作業に飽きてきている。
「ねぇ、これ面白くないんだけど。」
まだ初めて数分なのに話を振ってきたあたり、もう面白く無くなってきてるのがわかる。
そもそも事務作業に楽しいことはないと僕は思う。
「まぁまぁ、そう言わずに。ならこの間に色々お話すればいいじゃないですか。」
「お、いいね!まだ出会って数日だもんね!」
そうして僕は楓先輩と放課後の部屋で楽しくたわいのない会話を楽しむことにした。
ハチャメチャ彼女と普通な僕 青藍 @INDIGOCOLOR
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