ネタがない日記

三枝 早苗

第1話 空白

 私は、ゆっくりと伸びをした。できるだけ、何か難しい作業の途中の休憩のように。

 のけぞった姿勢でしばらく留まり、ゆっくりと回りを見た。勢いをつけてのけぞった体を戻す。ぎゅーんっ!

 目の前に、ひろがる真っ白な原稿用紙を見据える。気を取り直すように、再び伸び。しばらく待ってたらまた勢いをつけて戻る。ぎゅーんっ!

 ペンを握り直し、座り直した。これだけ迷ったんだ。何かいい案が浮かぶに違いない。そしてそして、何かとても面白い文を書けるに違いない。にんまりと、一人微笑んで、目の前の紙に手を置いた。行く行くは、プロね、とほくそ笑む。

「......」

気を取り直して、もう一度、姿勢を正す。しかし、既にただされた姿勢は、あまり変わらない。

「......寝るか」

ペンを持って、今にも書きはじめるという姿勢で一人呟いた。

 寝ている間にネタが降ってくることを夢見て。

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ネタがない日記 三枝 早苗 @aono_halu

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