よくある三角関係を、過去と現在を絡ませることで新しい物語に仕上げた良質な作品。過去も三角関係。現在も三角関係、と見せかけて、実は四角関係のなのだ。人間関係とそこにある人々の感情の裏と表を、見事に書ききっている。ここでは、表向きの人間関係だけ、紹介する。裏の人間関係は、是非読者様方に、読んでほしい。
主人公の香織は、華子の親友である。華子は恋人に先立たれたことで、現実的なモノを嫌うようになっていた。華子が「雨色」とするパンプスも、故人となった彼からの贈り物だった。主人公はそんな華子を心配する。そんな時、華子の前に星野という新たな男性が現れる。主人公はこれを良い兆しと見るが、華子は星野を振ってしまう。しかも、何故か星野は、恋愛相談を主人公にしてくるのだった。そんな様子を、華子から見られた主人公と星野は……?
星野の純粋な想いとは裏腹に、物語は展開する。
華子の親友であったはずの主人公が、ずっと秘めてきた想い。
その想いがついに爆発する時、面倒だけど愛おしい女同士の関係性が明らかになる。
パンプスの色を「雨色」としたり、湯気が現実的なことだとしたり、作者様の言葉選びや感覚的センスは抜群である。
是非、是非、ご一読ください!