第2話

彼女の存在に気づいたのは、梅雨入りと同時だった。

その頃になると、僕の存在も周りにとってはどうでもいいものとなり、僕に関わろうとする人はほとんどいなくなった。


SHRが終わるなり、僕は真っ先に帰路につく。携帯を取り出し、周りの音を遮断するべくイヤホンを突っ込む。大音量で曲を流すと自分の世界に浸れる。

一番好きな時間だった。


その日はちょっとしたイレギュラーがあった。

日直当番の生徒が風邪で欠席したため、彼女の次の出席番号である僕が、その代役をすることになった。


日直は基本的に二人体制で行われる。片方は黒板を消す仕事を、もう片方は移動教室の鍵の施錠をするといったように、役割を分担する。日誌については二人で書かなければいけないという決まりがあったため、これに関しては例外である。


さて、この日のイレギュラーはもう一つあった。


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君がいない夏 高瀬拓実 @Takase_Takumi

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