第1章「古代剣」あらすじ

[第1話 スタボロスの死]

 旅の途中で寿命を終えた老馬スタボロス。その死体を狙って耳長狼の集団が襲いかかる。剣も折れ絶体絶命のバルドを救ったのは、なんとはぐれ者のゲルカスト(緑色の凶暴な亜人)であるエングダルだった。エングダルは、スタボロスの皮から剣鞘を作ってくれる。エングダルの知り合いの商人とともに、バルドは旅立つのだった。


[第2話 鉈剣]

 名も知らぬ村の雑貨屋で見捨てられたように吊り下げられていた、まるで鉈のような形をしたくすんだ色の剣を、バルドは買った。その村に川熊の魔獣が現れる。みずからを犠牲にしても村人を逃がそうとするバルド。そのとき鉈剣は青緑の燐光を発し、強靱な川熊の魔獣を切り裂いた。この鉈剣こそは、古代の英雄が巨人や妖魔を倒すのに使ったといわれる真の魔剣ではないのか。


[第3話 騎士志願の少年]

 山に住む親子は、獣を寄せ付けない野菜エガルソシアで生計を立てていた。騎士になりたいという少年の願いを聞き、バルドは自分の過去を思い出す。バルドが九歳から十歳にかけて家に滞在した流れの騎士が、バルドの最初の師匠だった。それから思わぬ成り行きでバルドはテルシア家に雇われ、当主エルゼラの指導のもと、騎士にまで成り上がったのだった。


[第4話 壁剣の騎士]

 メイジア領を訪れたバルドは、領主のゴドン・ザルコスに、山賊と間違えられて成敗されそうになる。誤解が解けてザルコス家に滞在することになったバルドは、ゴドンに武芸の指導をする。旅にあこがれるゴドンは、領地を弟夫婦に任せ、バルドの押しかけ同行者となる。


[第5話 仇討ち]

 トゥオリム領の領主は圧政と重税で領民を苦しめるばかりか、逆らう者は二人の護衛に喉を切り裂かせて死にざまを見て楽しんだ。早々にトゥオリム領を通過したバルドとゴドンは、山で行商人を救った三人の老人にごちそうをする。実はその老人たちは、十八歳を筆頭にする若者の兄妹であり、六年前領主に両親を惨殺されていた。三兄妹の身を捨てての凄絶な仇討ちに、バルドとゴドンは涙するのだった。


[第6話 月魚の沢]

 月魚といううまい魚が食えると聞いて、山の沢の女将を訪ねるバルドたち。その沢に向かう兵士たちの一団があった。沢に死灰病が発生したというのだ。バルドとゴドンは、誤解を解いて沢の集落の危機を救う。


[第7話 ジャミーンの勇者]

 うまいノゥレ料理を食わせる村を訪ねたバルドたち。村の少年が蛇の毒に侵され、その薬を取るため、ジャミーン(猿のような亜人)の縄張りを突っ切るバルド。果たしてジャミーンに捕まり、青豹の魔獣と戦うことになる。あわやというところで古代剣が再び青緑の燐光を発し、バルドは危地を脱するのだった。


[第8話 革防具職人ポルポ]

 クラースクの街に着いたバルドは、川熊の魔獣の皮を素材に、自分の革鎧を仕立てることにする。ところが皮を預けた職人ポルポが殺人の罪で捕まってしまう。ゴドンとジュルチャガの協力で真犯人を暴いたバルドは、クラースク領主ハドル・ゾルアルスの人柄に感銘を受ける。


[第9話 エンザイア卿の城]

 マジュエスツ領主エンザイア卿の城に招かれたバルド。城をめぐる陰謀のただなかに置かれたバルドは、ゴドンとジュルチャガの協力を得て、真のエンザイア卿を救出する。この事件はバルドに、ルジュラ=ティアント(木のような姿の亜人)のモウラおよび精霊のスィとの出会いをもたらす。また、バルドは、野生馬ユエイタンを得る。


[第10話 約束の剣]

 シェサ領主の長男オーサは、後継をめぐる確執を避けるため、死んだふりをして領地を出奔する。その手伝いをしたバルドは、古代剣こそ、かつてアイドラがバルドに与えると約束した剣であり、愛馬スタボロスの宿る剣だと悟る。死への旅をやめ、今日を生きる旅を続ける、と思いを新たにするのだった。

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