戦争編 2018年12月29日~2019年1月3日
戦争編1 きのこたけのこ、どうでもいい
平和憲法のある(あった、と表現しなければならい日も近そうだ)この日本で終結していない戦争が三つある。ひとつが受験戦争、ひとつがきのこたけのこ戦争、そしてもうひとつが、なんだっけ? こういうのは大抵三つあるものだからそのつもりでいたが、いざ書いてみると三つ目が思い出せない。調べてみたがよく分からないので〈『容疑者Xの献身』はミステリか否か論争〉でも入れておこう。
さて、このエッセイはグルメが主題なので受験戦争も『容疑者Xの献身』もどうでもいい。重要なのはきのこたけのこ戦争である。
言うまでもなく、きのこたけのこ戦争とは、どちらも明治製菓の出している『きのこの山』『たけのこの里』のうち、どちらが優れているかということを決定する論争である。長い間議論は繰り広げられているが、実のところ明確な結論は出ていない。
そういえば総選挙があったなと思って調べたらたけのこが勝利していた。売り上げはどうかと調べたがあまりぱっとしない。少なくとも明白な優劣はないのだろう。どちらもが自分たちが贔屓にする菓子が勝利したタイミングを強烈に記憶し、それでもって戦争は終わったと思っている。そこにスプラトゥーンのフェスやらで新しい燃料が投下されていくというのが基本の流れだろう。
かくいう私はどちら派なのか。ふむ、これは言うまでもないことだろう。
なにせ味オンチ食道楽である。というかタイトルにも書いてある。
どうでもいい。
念のため言えば私は甘党の部類である。しかし最近は甘いものもたくさんは食べられなくなったし、そもそも食欲が減退気味で、加えて食事を面倒くさがるようにもなったので昼を抜くことも多いのだが…………という話はどうでもいい。私が間食用のおやつを買っておいて一か月放置するような人間なのもどうでもいい。
これは個人の生活環境にもよるのだが、私はあまりきのこの山もたけのこの里も食べなかった。きのこたけのこに限らず、DARSとかチョコパイとかコアラのマーチとか、要するに198円くらいのあの手の菓子を食べる習慣がなかった。兄弟が多いこともあって、あの手の菓子は子どもには一人で食べるには多いし、分け合うには少ないものだった。一人暮らしの現在でも、だからそうした習慣に従ってその手の菓子はほとんど食べないのである。
まあ、仮に食べていいよと大量に渡されても食べるのを億劫に思うだろう。
だって手が汚れるじゃない。
キーボードとスマホを触りながら食べられない菓子は好きじゃない。
話がわき道に逸れた感があるが、要するに、少なくともきのこたけのこの「どちらが好き」と結論を持つほどの愛着は私にはない。これは私が味オンチか否かに関わらないことだっただろう。
味オンチに関わることを言えば、確実に一度は食べたことのあるはずのきのこたけのこの味はさっぱり思い出せない。論争でよく聞くからクッキー生地とビスケット記事の差が、とかをおぼろげに知っている程度だ。
そもそもきのこたけのこ戦争で大騒ぎをしている連中の内、どれほどの人間が心からその菓子を愛しているというのだろうか。聡い味オンチ諸君ならば既に気づいているだろうが、連中は「味の違いが分かる」というちょっとの優越感と、おおっぴらに菓子で遊んだ画像(たけのこによるきのこ虐殺画像とか)を上げてもいいという免罪のために、ただひたすらにきのこたけのこ戦争を煽っているだけである。
目覚めよ諸君。きのこたけのこ戦争は無知蒙昧による祭りに過ぎない。
しるこサンドを信じれば、この苦しみから逃れ最後の日は天国に迎え入れられるだろう。
………………そういう話じゃない?
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