一瞬の詩

 和歌や俳句のいいところは

 いちど覚えると

 忘れにくいことだ

 暗唱しやすいところだ

 ページをめくらなくても

 頭のなかで

 好きなだけ味わえる

 好きなだけいじくれる

 稗田阿礼は

 古事記を暗唱したそうだけど

 凡夫には

 それほどの長さは荷が重い

 ただぽつぽつと

 記憶から浮かぶ

 泡のような音

 泡のような詩

 水泡みなわの表面に映りこむ

 一瞬の感情

 一瞬の詩

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