止まった言葉

 詩は舞踏

 散文は歩行

 フランスの詩人のその比喩は

 とてもわかりがいい

 詩と散文の境界は

 明瞭に定められるものかわからないが

 さまざまな言い方で対比されてきた


 詩は短距離走

 散文は長距離走

 そんなふうにも考えた

 散文というよりは小説というべきか

 ただこの考えも

 違うような気がしてきた

 詩は

 動いていないのではないか

 静止することを夢みてはいないか

 氷像のように

 死体のように


 いいややはり詩は動いている

 言葉の震えが詩の命綱だから

 ただ何故か

 いまは

 どうしようもなく止まりたい

 信じがたいほど動かない言葉を見つけたい

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