崩壊期
ただただ見つめよう
この崩壊を
惨たる衰亡を
弱者を見殺しにしたツケがまわってきた
素晴らしいじゃないか
文明の梯子が
次々に倒壊していく有り様は
ソドムとゴモラにも
終末を楽しむ人間はいた
終わりに立ち会えるのは光栄なことだ
いままさに廃虚が生まれようとしている
人間性の骸
叡知の抜け殻が
いたるところから静かな断末魔が聞こえる
世界の水ぶくれがつぶれる音がする
眼はまだ見えている
耳はまだ聞こえている
社会の傷口が人々のこころに転化し
病棟の窓が一斉に開け放たれ
蜂に刺された子どもをだれも助けない
道ばたに点々と落ちた鱗は
流せなくなった涙の代替物だ
老いた魚が陸で嘲笑う
山あいの向こう側で
樹が燃えているのが見えるだろう
あれがおまえの道徳だ
幸いなるかな幸いなるかな幸いなるかな
この崩壊に
安全地帯はない
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