眠りの初心者

 生きてきてなんど眠ったかわからないが

 眠りについてはいまも初心者だ

 覚醒から移行する瞬間を

 とらえられたためしがない

 逃れるすべも

 すみやかに赴く道筋も

 なにもかもおぼつかない

 右も左もわからない

 人生のけっして少なくない割合を眠りに捧げているのに

 いつまで経っても気心がしれない

 幼いころの方が

 眠りについてはよく知っていた

 左手に未来を

 右手に過去をたずさえた

 夢の運び手であるその友達について

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